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[補説§30]
§30.1 『現代日本語文法4』
§30.1 『現代日本語文法4』
ムードに関して代表的な文献がムードの体系をどう考えているかを紹介します。
次の本の第1章「概観」の所をまとめたものです。
『現代日本語文法4 第8部 モダリティ』(宮崎・安達・野田・高梨・雨宮)
第1章 モダリティの概観
第2節 モダリティの種類
文の伝達的な表し分けを表す 表現類型のモダリティ
命題が表す事態のとらえ方を表す 評価/認識のモダリティ
文と先行文脈との関係づけを表す 伝達のモダリティ
聞き手に対する伝え方を表す 丁寧さ/伝達態度のモダリティ
1その文がどのような伝達的な機能を担うのか 文の基本的な性質を決定
表現類型
情報系 すべての述語
叙述のモダリティ
疑問のモダリティ
行為系 意志的な動詞のみ
意志のモダリティ
勧誘のモダリティ
行為要求のモダリティ
感嘆のモダリティ 未分化文に近い性質
2命題によって表される事態に対する話し手のとらえ方を表す
評価 必要、不必要、許容、不許容
認識 断定・推量、可能性・必然性、推定・伝聞など
3先行文脈と文との関係づけを表す
説明のモダリティ
その文を先行文脈と関係があるものとして示すことによって、
先行文脈の内容が聞き手に理解しやすくなるようにする
2と4の中間的な存在
その文を先行文脈と関連づけて聞き手に示すという伝達的な性質を持つ
先行文脈で示された内容の事情を話し手が把握したことを表し、事態に
対するとらえ方を表すという性質を持つ
あいつ、遅いなあ。きっと渋滞しているんだ。
4聞き手に対する伝え方を表す
伝達のモダリティ
丁寧さのモダリティ スタイルの選択(普通体/丁寧体)
伝達態度のモダリティ 終助詞
その文を発する際に、話し手の認識状態を示したり、聞き手に
伝えるにあたっての微調整をしたりする
第3節 モダリティの相互関係 体系
その文にどのモダリティが現れることができるかは、文の基本的な性質
を決める表現類型のモダリティのうち何が選択されるかによって決まる。
モダリティの相互関係
評価 認識 説明 丁寧さ 伝達態度
表現類型 情報系 叙述 ○ ○ ○ ○ ○
疑問 ○ △ ○ ○ ○
行為系 意志 × × × ○ △
勧誘 × × × ○ ○
行為要求 × × × △ ○
感嘆 × × × △ ○
△はそのモダリティの分化に留保や例外現象があるもの
・5人の著者のうちの4人は、同じ出版社の「新日本文法選書」という
シリーズの「モダリティ」という本を書いています。こちらは記述文
法というよりも「研究書」という書き方です。
しかし、もちろん内容は対応しています。その対応を下に書いておき
ます。
◇文法選書との対応
現代(4人+雨宮) 文法選書(宮崎・安達・野田・高梨)
ページ 対応 担当者 ページ
1 1 概観 序 概念(宮) 1
15 2 表現類型 (←1.2.5.6) 1部 実行 17
17 叙述 1 意志・勧誘(安) 18
20 疑問 2 命令・依頼(安) 42
51 意志 2部 叙述 79
61 勧誘 3 評価(高) 80
66 行為要求 4 認識(宮) 121
82 感嘆 3部 疑問 173
91 3 評価 (←3) 5 質問と疑い(安) 174
98 必要 6 確認要求(宮) 203
117 許可・許容 4部 テクスト・談話 229
122 不必要 7 説明(野) 230
128 不許可・非許容 8 終助詞の機能(野) 261
133 4 認識 (←4)
143 断定・推量
151 蓋然性
163 証拠性
178 そのほか
189 5 説明 (←7)
195 のだ
207 わけだ
218 ものだ・ことだ
229 6 伝達 (←8)
230 丁寧さ
239 伝達態度
275(参考文献)
(「現代」のほうは各章の担当者は不明です。
なお、雨宮の修士論文は当為表現です。)
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