電気・電機・電器」は、いずれも「でんき」と読み、それぞれ意味に違いがあるが使い分けが難しい。
電気とは、摩擦電気や放電、電流などの現象の総称。また、電力や電灯も意味する。
電機とは、電力によって運転、使用される機械。電気機械のこと。
電器とは、「電気器具」の略で、電気を利用した器具のこと。
電気の細かな意味まで考えるとわかりにくくなるため、違いに関して考える際には、物理的現象を発生させる電気エネルギーそのもの・電力・電灯を指すとだけ覚えておけばよい。
その電気を使うのが「電機」や「電器」である。
「電機」と「電器」の使い分け方として、大型のものは「電機」、小型のものは「電器」といわれることもあるが、そのように分けえると、大型テレビは「電機」、小型テレビは「電器」になってしまうため正しくない。
「電機」と「電器」の違いを単純に覚える方法としては、「機械・装置」と捉えることが優勢か、「器具・道具」と捉えることが優勢かである。
電気モーター(電動機)などは、機械・装置と捉えるものなので「電機」。
日常の生活で使用する電化製品は、器具・道具として捉えるので「電器」である。
「加湿器」や「炊飯器」のように「器」の字を使っているものも、「掃除機」「洗濯機」のように「機」の字を使っているものも「電器」である。
ただし、電器も機械であることに変わりはなく電機の一種である。
電気エネルギーを使用する機械全般についていう場合は「電機」を使い、家電などの電気製品を手掛けるメーカーを表す場合は「電機メーカー」と書く。
「日本電気」「三洋電機」「松下電器」のように、社名や店名で使われる漢字はややこしい。
家電製品の販売店でも、「ヤマダ電機」のように「電機」を使っている店もあれば、ヤマダ電機が子会社化した「ベスト電器」のように「電器」を使っている店もある。
社名・店名に関しては、会社ごと店ごとで由来が違うため、固有名詞については個々で使い分けを覚える必要がある。
セロハンテープとは、1930年にアメリカの3M社によって開発された、セロファン(セロハン)の片面に粘着剤を塗ったテープのこと。
「セロファンテープ」や「セロハン粘着テープ」ともいう。
セロテープとは、ニチバンが有するセロハンテープの登録商標。
1947年、医療用絆創膏メーカーであったニチバンがセロハンテープを製品化し、1948年に「セロテープ」の商標を登録した。
セロテープが国産初のセロハンテープであり、日本国内ではしばらくの間、セロハンテープといえばセロテープしかなかったため、「セロテープ」が普通名詞のように使われるようになった。
しかし、セロテープはニチバンの登録商標であるため、その他のメーカーのセロハンテープを「セロテープ」と呼ぶのは間違いである。
印鑑・はんこ・印章は全て同じものと思われがちだが、厳密には、はんこと印章は同じもの、印鑑はそれらと違うものを指す。
印章(はんこ)は、木・竹・石・角・象牙・金属・合成樹脂などに、文字や記章を彫り、個人や団体のしるしとして押すものである。
はんこや印章のほか、印(いん)・判(はん)・印判(いんばん)・印顆(いんか)などともいう。
なお、はんこを漢字で「判子」と書くのは当て字である。
印鑑とは、紙などに押した印章(はんこ)の跡。
というのも厳密には間違いで、印章(はんこ)を押した跡は「印影」という。
印鑑は、印章(はんこ)が所有者のものであるかを真偽鑑定するため、あらかじめ市区町村長や取引先などに届け出し、保存されている印影のこと。
市区町村長に登録されている個人の実印の印影、法務局に登録されている法人の実印の印影、銀行に登録されている銀行印の印影などが、印鑑である、
しかし、登録されている実印や銀行印の印影は「印鑑」としか呼ばず、これを「印章」や「はんこ」と呼ぶのは間違いである。
定規には、直角定規・三角定規・T定規・雲形定規・平行定規など多くの種類があるが、長さの単位の目盛りが付いているものと付いていないものがある。
また、目盛りは端から少し離れたところにある。
一方の物差しは、折り畳み式や直角のものがあるくらいで、定規のように種類が豊富ではない。
物差しには、長さの単位の目盛りが必ず付いており、目盛りの開始位置は端からになっている。
定規と物差しで種類や目盛りの有無、目盛りの開始位置が異なるのは、それぞれの目的が異なるためで、定規は線を引いたり、物を裁断する時に当てがって用いる道具。
物差しは、物の長さを測るための道具だからである。
定規を物差しの代用にしたり、物差しを定規の代用にすることがあるが、全て代用できるわけではなく、地面から上への長さを測る場合などは、目盛りが端から付いていない定規では測りにくい。
また、曲線や角度の必要な線を引いたり、裁断をするといった場合は、定規であれば、その目的にあった種類のものを使えばよいが、物差しでは、そのような線を引いたり、裁断することは難しい。
古本と古書は、古い本という意味では同じである。
しかし、古書には昔の古い書物の意味もあるため、明確な線引きはないものの、次のような形で使い分けされていることが多い。
古本は、誰かの手に渡ったことのある本、読み古した本のことで、新本に対する語。
新本が新品、古本が中古品という位置づけで、まだ一般書店で取り扱っている新刊本でも、誰かの手に渡り、市場に出てきたものであれば古本である。
古書は、すでに絶版となっており、一般書店では入手不可能な本のこと。
ただし、絶版から日の浅いものは古本として扱われる。
古書として扱われるのは、古文書、古地図、古写経など歴史的な価値があるものや、ISBNコードが付されていない時代に出版された本など、古く希少価値の高い本を指す。
「古本屋」と「古書店」という呼称の違いは、上記の「古本」と「古書」の違いとは異なる。
サイト名では「古本屋」と付くところもあるが、「古本屋」は主に話し言葉として使われるもので、実店舗の店名では「古書店」が一般的である。
そのため、「古書店」とあっても比較的新しい古本ばかりを扱う店もある。
また、「古書店」ではなく「書店」と名乗る店も多いため、店名で扱う本を区別することはできない。
ATMを日本語では「現金自動預け払い機」、CD(キャッシュディスペンサー)」は「現金自動支払い機」という。
日本語を見比べると、預け入れ機能の有無となるが、両者の違いはそれだけではない。
CDは「Cash Dispenser」の略。
意味はそのまま「現金自動支払い機」で、預貯金の引き出しのほか、残高照会、カードローン、クレジットカードのキャッシングなど、現金の支払いにかかわる機能に制限されたものとなっている。
ATMは「Automated Teller Machine」の略。
「Teller」は金融機関の窓口業係のことで、「Automated Teller Machine」を直訳すれば「自動金融窓口業務機」。
つまり、金融機関の窓口の業務に近い機能をもつのがATMである。
金融機関や機械によって使える機能は異なるが、ATMは預貯金の預け入れ・引き出しのほか、残高照会、通帳記入、振込、振込予約、振替、ローンの返済などできるものが多く、カードローン、定期預金や外貨預金の申し込みや解約、キャッシュカードの暗証番号変更といった、様々な機能がついたATMもある。
このように、ATMとCDでは機能に大きな違いがあるが、あまり区別されておらず、「CD」も「ATM」と呼ばれることが多い。
クレヨンとは、パラフィンや蝋などと顔料を練り合わせた棒状の画材のこと。
クレヨンは硬質なため線描に適しているが、混色・重ね塗り・面描などには適していない。
このような特徴から、クレヨンはクロッキーやスケッチ、線で描くことが中心となる幼児のお絵描きに多く使われる。
日本では、上記のものを指して「クレヨン」というのが一般的だが、広義には鉛筆・コンテ・パステル・チョークなどの棒状の画材を指し、フランス語では、それらを用いた絵画のことまでも意味する。
クレパスとは、クレヨンの主原料に液体油を混ぜ合わせた棒状の画材のこと。
1925年に株式会社サクラクレパスが開発したもので、「クレパス」の名は登録商標となっている。
クレパスの一般名称は「オイルパステル」であり、「クレパス」はオイルパステルの特定商品名である。
「クレパス」の名は、定着性があり簡便だが線描以外に向いていないクレヨンと、微妙で柔らかい色調を表現できるが粉状で定着性のないパステルの長所を併せ持つ画材であることから名付けられた。
クレヨンよりも軟質で伸びが良いため面描ができ、厚塗りができるため、混色・重ね塗り・スクラッチ技法が使えるなど、幅広い表現が可能な画材である。
陶器と磁器を総称して、「陶磁器」「焼き物」「瀬戸物」「唐津物」などと呼ばれるが、陶器と磁器では製造方法に違いがあるため性質も異なり、比較的簡単に見分けることもできる。
陶器は、主な原料に陶土(粘土)を使い、1100~1300度で焼いたもので、「土物」とも呼ばれる。
十分に焼きが締まらないため、磁器に比べて柔らかく吸水性があるが、普通は、光沢のある釉(うわぐすり)を施すため、水を通すことはない。
また、陶器は熱しにくく冷めにくい(熱伝導率が低い)という特徴がある。
日本の有名な陶器には、美濃焼、瀬戸焼、唐津焼、益子焼、信楽焼、萩焼、萬古焼、備前焼などがある。
磁器は、主な原料に陶石を粉砕した石粉を使い、1300度程度で焼いたもので、「石物」とも呼ばれる。
焼きが締まってガラス化しているため、吸水性はほとんどなく、陶器に比べて硬い。
また、磁器は熱しやすく冷めやすい(熱伝導率が高い)という特徴がある。
日本の有名な磁器には、有田焼(伊万里焼)、九谷焼、砥部焼などがある。
陶器と磁器の見分け方には、色合いや透明度、叩いた時の音、重さなどがある。
陶器よりも磁器の方が透明度が高く、淡い色で透かして光を通さなければ「陶器」、白い色で光を通せば「磁器」。
叩いた時に、鈍い音がすれば「陶器」、金属的な高い音がすれば「磁器」。
厚手で重いものが「陶器」、薄手で軽いものが「磁器」である。
LED電球や蛍光灯の色には、「昼光色」「昼白色」「白色」「温白色」「電球色」があり、主に使われるのは「昼光色」と「昼白色」と「電球色」の3色である。
昼光色は、寒色系の青っぽい色で、パナソニックでは「クール色」、NECでは「フレッシュ色」とも呼ばれる。
昼白色は、自然な白っぽい色で、パナソニックでは「ナチュラル色」、NECでは「マイルド色」とも呼ばれる。
電球色は、暖色系のオレンジっぽい色で、パナソニックでは「ウォーム色」、NECでは「リラックス色」とも呼ばれる。
昼光色は、部屋をすっきりと明るくし、読み書きや裁縫など細かなものを見るのに向いている。
また、青みがかった光の色は集中力を高め、脳を覚醒させる効果があるため、昼光色は勉強部屋や書斎・オフィスなどに適した色である。
ただし、明るくはっきり見やすい分、疲れやすく、偏頭痛の原因にもなる。
昼白色は、太陽に近い自然な光で部屋を明るくするため、洋服選びや化粧などに向いている。
昼光色が明るすぎると感じる場合は、昼白色を選ぶとよい。
電球色は、暖かみのある落ち着いた光で、寝室やリビング・和室に向いている。
また、電球色は料理が美しく見える色なので、食卓や飲食店にも適した色である。
これらの色は、色温度(光の色を求める温度)で分けられ、色温度にはK(ケルビン)という単位を用いる。
色温度が低い時は暗いオレンジで、色温度が高くなるにつれて明るくなり、色も黄色、白色、青色へ変わっていく。
昼光色・昼白色・白色・温白色・電球色の色温度は、おおむね以下の通りである。
昼光色は、6,500~6,700K
最近のシーリングライトは、場面に合わせて光の色・明るさを変えられるよう、色温度調整機能が付いたものも多く販売されている。
インクジェットプリンターのインクには、染料インクと顔料インクがあり、それぞれにメリット・デメリットがある。
染料インクは、着色成分が溶剤に溶けているインク。
用紙に浸透するため、鮮やかで透明性があり、色の再現度が高い。
印刷表面が滑らかで、光沢感も出やすいため、写真の印刷に適している。
写真専用の用紙など、表面が特殊加工されている用紙であれば、綺麗な発色となる染料インクだが、普通紙の場合はインクが染み込み、滲むこことがある。
また、色が安定するまでに時間がかかり、水や紫外線に弱く、色褪せやすいというデメリットもあるため、長期保存が必要な書類の印刷には適していない。
顔料インクは、着色成分が大きな粒子で溶剤に溶けきっていないインク。
用紙に浸透せず、表面にインクを定着させるため、普通紙でも滲みが少なく、速乾性があり、色の安定も早い。
文字がくっくりと表現され、耐水性・耐光性に優れているため、長期保存が必要な書類の印刷に適している。
繊細な色の表現が難しいため、写真の印刷に不向きだが、普通紙に印刷する場合は、染料インクよりも顔料インクの方が鮮明に印刷される。
粒子が粗いため、プリンターヘッドが目詰まりしやすい。
ねじ・ボルト・ビスは、物を締め付けるために用いる、らせん状の溝があるもの。
らせん状の溝があり、回転させて結合させるため、縦方向に抜けにくいという性質がある。
釘は、物と物を接合・固定させるために打ち付けて用いる、一端を尖らせた細い棒。
打ち込んで固定させるため、横方向からの力に強いという性質がある。
ねじは、大きく分けて2種類あり、側面にらせん状の溝が入ったものを「雄ねじ」、内面に入ったものを「雌ねじ」と呼び、一般にいう「ねじ」は「雄ねじ」を指していることが多い。
雄ねじの形状をしたものに「ボルト」や「ビス」があり、これらも「ねじ」の一種である。
ねじには、先が尖ったものもあれば、先が平らなものもある。
ボルト(bolt)は、一般に、内面にらせん状の溝が入った「ナット(雌ねじ)」と組んで使われる雄ねじを指す。
ナットと組んで使わないものも「ボルト」と呼ぶことがあるが、その場合は、直径が比較的大きく、先の尖っていない雄ねじを指すことが多い。
ビス(vis)は、「小ねじ」とも呼ばれるように、小さな雄ねじを指す。
ビスの先端は、尖っているものと、尖っていないものがあるが、多くは、尖ったものである。
小ねじの中で、「ねじ」と「ビス」の呼び分けが必要な場合は、先の尖っているものが「ビス」、先の尖っていないものが「ねじ」と呼ばれる。
プレゼントもギフトも贈り物を意味する言葉だが、使われ方に違いがあり、日本と海外での使われ方にも違いがある。
英語の「present」は、親しい人に贈る、愛情や友情など気持ちを込めた私的な贈り物。
「gift」は「present」よりもフォーマルな表現で、価値のある贈り物を意味し、天賦の才能という意味もある。
厳密に使い分けされている訳ではないが、「present」は同士もしくは目下から目上に贈る物、「gift」は目上から目下に贈る物に使われる。
日本でも、プレゼントよりギフトの方が改まった表現という点は同じである。
しかし、日本のギフトは、お中元やお歳暮など社交上の慣例として贈る「ご進物」の意味が強いため、どちらかと言えば目下から目上に贈る物になる。
また、海外では「gift」の方が「present」よりもポピュラーだが、日本ではプレゼントの方が一般的である。
カタカナ語の「ギフト」を使うよりも、「贈り物」「ご進物」などの日本語を使った方が改まった表現になるため、会話中に「贈り物」の意味で「ギフト」の語が使われることは少ない。
「ギフト券」「ギフト商品」「ギフトセット」など、他の語と複合して用いるのが普通で、「贈り物」というよりは「贈り物商品」を表す言葉となっている。
樽は、酒・醤油などを入れ、保存・運搬に使用される、蓋が閉じられた容器。
桶は、風桶や寿司桶など、蓋が閉じられていない容器である。
容器が木製の場合は、側板に板目板を使うのが「樽」、柾目板を使うのが「桶」である。
板目板は、木目が平行ではなく山形や波形をしたもので、水分を吸収しにくく、蒸発させにくい性質があるため、酒や醤油などの貯蔵に使われる。
柾目板は、木目がほぼ平行で均等に並んだもので、水分を吸収しやすい性質があるため、中身の出し入れが頻繁にある風呂桶や水桶などに使われる。
上記のように、基本的には蓋の有無や使用する板の違いで、樽と桶は分けられるが、下記のように例外も多く、はっきり区別できないのが樽と桶である。
漬物を入れる容器は、「漬物樽」とも「漬物桶」とも呼ばる。
酒や醤油のように中身を取り出す際には穴を開け、蓋が閉じられたままのものであれば「樽」で間違いないが、漬物の容器は、保存時には蓋が閉じられているため「樽」、中身を取り出す際には蓋を開けるため「桶」ともいえ、区別が難しい。
雨水を貯めておく天水桶は、その名前からすれば「桶」であるが、蓋があるものと無いものがあり、木製の場合は、水を長期に貯めるため板目板が使われる。
棺桶に「桶」が付くのは、遺体が座った状態で入るように作られた「座棺」の形状に由来するが、その形状は樽型である。
傘も笠も同源で、雨・雪・日光をさえぎるためのもの。
傘は頭上にかざすもので、笠と区別するために「さしがさ」ともいう。
笠は頭にかぶるもので、傘と区別するために「かぶりがさ」ともいう。
椎茸や松茸などキノコの「かさ」は、形が頭にかぶる笠に似ていることからのたとえなので、本来は「笠」と書くのが正しい。
しかし、現代では「傘」と表記される方が多いため、一方が正しく、一方が間違いとはいえなくなっている。
「笠」ではなく「傘」と表記されるようになった理由は、キノコの軸を柄にたとえれば「傘」に見えるためともいわれるが、それではキノコ全体が「傘」になり、指している部分と異なる。
ランプシェードは、本来「電球の笠」であるが、柄にたとえられる部分がなくても「電球の傘」と表記される。
このようなことを踏まえると、現代一般的に「かさ」と呼ばれるものは頭上にかざす「傘」であるため、かさのように覆うものを広く表す際の表記に「傘」が使われている、と考えるのがよいであろう。
徳利は、口の近くが狭くすぼみ、胴が膨らんだ形をした、陶製・金属製・ガラス製の酒・醤油・酢などを入れておく容器。
特に、日本酒を入れてお猪口に注ぐ酒器として使われる。
本来は「とくり」だが、現在では訛りの「とっくり」と呼ばれることのほうが多い。
居酒屋などで熱燗を注文する際に「お銚子一本」などと言うが、実際に提供されるのは、お銚子ではなく徳利に入ったお酒。
お銚子に入ったお酒が、居酒屋で提供されることはまずない。
お銚子とは、金属製で柄杓のように長い柄のついた、酒を入れて盃に注ぎ移すための器のことである。
結婚式の三三九度で、巫女さんが酒を盃に注ぐ時に用いられるのが、本来のお銚子。
形状が違うものでは、お屠蘇などで用いられる土瓶や急須のような形をしたものもあるが、徳利の形をしたお銚子はない。
このように、徳利とお銚子は全く違う酒器で、徳利を「お銚子」と呼ぶことは誤用であるが、長い年月をかけて浸透した誤用で、現在では誤用の方が一般的であるため、徳利を「お銚子」といっても間違いとはされない。
ただし、本来のお銚子はお銚子であり、これを「徳利」と呼ぶのは間違いである。
木材と材木は、切断して建築物や製品の材料に用いられる木を指し、置き換え可能な熟語である。
しかし、「木材からパルプ作る」とは言うが、「材木からパルプを作る」とは言わないように、木材と材木は原木に近い状態か、製品に近い状態かによって使い分けされている。
木材は、原木を切断して材料や原料として用いる木のこと。
材木は、建築や製品の材料として一定の長さや大きさなどに製材し、用材となったもののこと。
材質が木であることに焦点が置かれるのが「木材」、用材となっている木であることに焦点が置かれるのが「材木」である。
上記の違いから屋号にも違いがあり、山元に近いほど「木材店」が多く、流通の最終段階に近くなるほど「材木店」が多くなる傾向にある。
セメントは、石灰石や粘土などを焼成し、粉砕した灰白色の粉末。
無機質接着剤の総称であるが、普通、「セメント」といった時には、コンクリートやモルタルの主原料として使用される土木建築用のポルトランドセメントを指す。
コンクリートは、セメントに砂・砂利・水を調合し、こね混ぜて固めたものをいう。
固まっていないものは、「生コン(生コンクリート)」といって呼び分けられることが多い。
モルタルは、セメントまたは石灰と砂を混ぜ、水で練ったもの。
壁の下地塗りや上塗り、レンガ・ブロックなどの目地塗り、コンクリートの表面仕上げなどに使用される。
アスファルトは、炭化水素を主成分とする黒色の固体または半固体、粘性の高い液体で、熱を加えると溶解する性質を持つ。
天然のものもあるが、原油を減圧蒸留した際に得られるものがほとんどで、日本で「アスファルト」といえば「石油アスファルト」を指す。
主に道路の舗装に使用され、絶縁材や塗料などにも利用されている。
香水は、香料をアルコールで溶かした液体。
化粧品業界では、香料濃度(賦香率)の高い順に、パルファム・オードパルファム・オードトワレ・オーデコロンと分類している。
日本では、オーデコロン・オードトワレ・オードパルファム・パルファムを総称して、「香水」と呼ぶことが多い。
日本の薬事法では香水の分類・規制がないため、メーカー毎に呼び分け方に違いもあるが、目安として次のように区別される。
パルファム(パルファン)は、濃度15~30%、持続時間5~7時間。
濃度が高いため小量で効き、香りが長持ちする。
英語で「香水」を意味する「パフューム(perfume)」は、フランス語の「パルファム(parfum)」と同源で、狭義に「香水」といえば「パルファム」を指す。
オードパルファム(オードパルファン)は、濃度10~15%、持続時間5~7時間。
パルファムのように香りに深みがあり、持続時間が長いが、濃度が低いため、価格もパルファムより低く設定されているものが多い。
「eau de parfum」の頭文字から、「EDP」と表記される。
オードトワレは、濃度5~10%、持続時間3~4時間。
濃度が低めで、ほんのり数時間香るため、普段使いに適している。
「eau de toilette」の頭文字から、「EDT」と表記される。
オーデコロンは、濃度2~5%、持続時間1~2時間。
シャワーを浴びた後のような感覚で使ったり、初めて香水を使う場合に適している。
「eau de Cologne」の頭文字から、「EDC」と表記される。
非常に濃度が低いため、オーデコロンと香水(パルファム・オードパルファム・オードトワレの総称として)に分類されることもある。
菌は10度以下で増殖が遅くなり、マイナス15度以下でほぼ繁殖しなくなるため、冷蔵庫は0~10度、冷凍庫はマイナス18度以下に設定されている。
しかし、冷蔵と冷凍だけでは、それぞれの食品に適した温度で保存できないため、最近の多機能冷蔵庫はチルドやパーシャルなど、更に細かな温度設定をし、食料品を最適な温度で保存できるようになっている。
冷凍室(冷凍庫)は前述の通り、マイナス18度以下で、冷凍食品や作り置きした惣菜などを長期保存できるスペースである。
パーシャルは「部分的」という意味で、「パーシャルフリージング(部分凍結・微凍結)」の略。
パーシャル室は、食品がわずかに凍る程度の約マイナス3度で、肉や魚などの鮮度を保ちながら保存できる。
「パーシャル=氷温」とされることも多いが、厳密には、パーシャルが微凍結の状態、氷温は凍り始める直前の状態である。
氷温室は約マイナス1度で、刺身やスライスした肉など、凍り過ぎると困るような食品の保存に適している(水分を多く含む食品の場合は凍ることもある)。
パーシャル室のみの冷蔵庫であれば、マイナス3~マイナス1度の設定になっていることも多い。
チルドは、「冷却された」という意味。
チルド室は、冷蔵よりも温度は低く、冷凍やパーシャルよりも高い、0度前後に設定され、ヨーグルトなどの乳製品や納豆などの発酵食品、ちくわなどの練り製品の保存に適している。
冷蔵室は約3~10度程度と温度の幅は広いが、保存する場所によって異なり、冷蔵室の中心となる棚の部分約3~5度、冷蔵室のドアポケットの部分は約6~10度で、調味料やドリンク、卵などはドアポケットに置くようになっている。
また、冷蔵室とは別に、野菜室が設けられている冷蔵庫も多い。
野菜は低温障害を起こしやすく、乾燥もしやすいため、野菜室は約3~7度、湿度90%程度で、みずみずしさが保たれる設定となっている。
簾(すだれ)は、材料に細く割った竹や葦(ヨシ)などを並べて糸で編んだもので、日よけや目隠しなどの目的で使われるものの総称である。
葦簀(よしず)は、「よしすだれ」とも言うように簾の一種だが、材料に葦が使われ、大型で軒先などに立て掛けて使うものを「葦簀」と呼び、簾と区別される。
簾には、地面に対して横方向に垂らすように使う「掛け簾」と、地面に対して縦方向に立て掛けて使う「立て簾(たてす)」があり、葦簀は立て簾に含まれる。
そのため、ブラインドカーテンのように、窓などに吊るして使うものは「簾」、軒先などに立て掛けるものは「葦簀」と分けられるが、材料に竹などが使われている場合は「葦簀」ではなく、「立て簾(たてす)」と呼ばれる。
ただし、天然材料ではなく、樹脂製のものも増えてきたことから、最近では、小型で窓などに吊るして使うタイプを「すだれ」、大型で立て掛けるタイプを「よしず」と呼び分けられることも多くなっている。
葦簀と簾のメリットとデメリットというほどではないが、用途の違いから次のような違いもある。
葦簀は窓全体をおおうことができ、水をかけて更に温度を下げることができるため、簾よりも涼しくなるが、外に置くため腐食しやすく、大型で保管が不便である。
簾は室内に掛ければ腐食もしにくく、年中掛けておくこともでき、小型で保管にも便利だが、涼しさの面では葦簀に劣る。
団扇も扇子も、手に持ち、あおいで風を起こす道具で、扇(おうぎ)の一種。
単に、「扇」と言った場合は「扇子」を指すことが多いが、歴史的には扇子よりも団扇の方が古く、中国で発明され日本に入ってきた団扇を、携帯に便利なよう折り畳み式にしたものが扇子である。
扇子を「扇の子」と書くのも「小型の扇」という意味であるため、折り畳み式が「扇子」で、折り畳めないものが「団扇」といえそうだが、団扇の中にも折り畳み式のものがある。
団扇の「団」は「丸」を意味するように、団扇は丸い形状をしたものが多いが、必ず丸い形をしているとは限らず、四角い団扇やキャラクターの団扇などもある。
見た目の一番の違いは、扇ぐ時に手に持つ部分。
扇子は「要」と呼ばれる骨を束ねて固定しておく部分を持つが、団扇は骨の集まった部分の下にある柄を持つ。
スライドさせて折り畳める、扇子のような団扇にも、持ち手となる柄がある。
柄のない団扇もあるが、扇ぐ面の一部に持つための穴があるなど、団扇は扇子のように手に持つ部分と骨の固定部分が一緒になっていない。
形状以外の違いとしては、用途に違いがある。
団扇は、ノベルティグッズとしても作られるが、風を起こすための道具であることに変わりはない。
扇子は、儀式や祭事、舞踏など、風を起こす以外の目的にも使われるものである。
芳香とは良い香り・アロマのことで、芳香剤は良い香りを放つ効果のある薬剤。
消臭とは不快な臭いを消すことで、消臭剤は悪臭を消す効果のある薬剤。
脱臭とは臭気を取り除くことで、脱臭剤は臭気を除く効果のある薬剤である。
芳香剤は、アロマによって嫌な臭いをごまかす「感覚的消臭法」で、悪臭自体を消すものではないが、消臭成分を含んだ消臭芳香剤は、不快な臭いを消し良い香りを放つ効果がある。
消臭剤は、悪臭の元となる成分を化学反応によって無臭成分に変える「科学的消臭法」が多いが、悪臭が消えたと感じられれば「消臭」になるため、感覚的消臭法の「芳香剤」も消臭剤の一種といえる。
脱臭剤は、活性炭や活性粘土などの吸着性を利用して、悪臭の元となる成分を吸着させたり、包み込んで消す「物理的消臭法」である。
下駄箱や冷蔵庫など、臭いのこもる場所に使用される。
その他、消臭には生物的消臭法があるが、生物的消臭法はバクテリアを抗菌剤で繁殖を抑えたり、微生物で分解し、バクテリアの繁殖によって出る生ゴミなどの悪臭を消す方法で、「芳香剤」「消臭剤」「脱臭剤」のいずれにも当てはまらず、悪臭の発生を防ぐ「防臭剤」に意味は近い。
芳香剤は、良い香りを放つが、臭いをごまかすため、悪臭原因物質が有害な場合は問題がある。
消臭剤は、化学反応によるため、特定の悪臭原因物質には効果があるが、消臭対象としていない悪臭原因物質には効果がない。
脱臭剤は、複数の悪臭原因物質を取り除くことが可能である反面、臭いの選択が困難なため、良い匂いも消してしまうなど、それぞれにメリット・デメリットがある。
カタログは、漢字で「型録」と当てられるように「型を記録したもの」、つまり、目録のこと。
製品・商品・営業内容などを説明・紹介するもので、特徴や効能・効力などを印象づけるため、紙質やデザイン・体裁などにも注意を払って制作されるものが多い。
パンフレットは、複数ページの印刷物を仮綴じしたもの。
商品の説明や案内、宣伝広告などに用いられ、カタログと同じ意味で使われることも多いが、パンフレットは目録のように整理して書き並べたものとは限らず、「小冊子」を広く意味するものである。
リーフレットは、一枚刷りの印刷物、折りたたみ式の小型の印刷物を指す。
カタログやパンフレットなどと同様に、案内・説明・広告などに用いられる。
パンフレットが説明や案内の印刷物を意味するといった誤解や、リーフレットがパンフレットに比べて認知度が低いことから、リーフレットは「一枚刷りのパンフレット」などと呼ばれることもあるが、複数ページの印刷物が綴じられていないものは、パンフレットではない。
JIS規格では、上部が平らで足をかけて押せるものを「ショベル(シャベルと同じ)」、上部がな曲線状で足をかけられないものを「スコップ」と区別しているが、世間ではJIS規格と異なる区別の仕方をしているため、JIS規格の基準で伝えても通じないことの方が多い。
関東(東日本)では大型のものを「スコップ」、小型のものを「シャベル」と呼び、関西(西日本)では大型のものを「シャベル」、小型のものを「スコップ」と呼ぶことが多く、地域によって呼称が逆転している。
一部の辞書では、スコップを「小型のシャベル」と解説しているものがあり、西日本の呼び方が支持されている。
また、「ショベルカー」を「スコップカー」と呼ばないから、大きいものが「シャベル」で、小さいものが「スコップ」というイメージを持った人もいる。
先が尖った剣型のものを「シャベル」、先が真っ直ぐな四角いものを「スコップ」という区別の仕方もある。
これが土木現場では、剣型のものを「剣スコ」、四角いものを「角スコ」と呼び、先が剣型でも四角でも「スコップ」である。
形状や大きさなど、様々な区別の仕方がされるシャベルとスコップだが、はっきりとした違いは、シャベルが英語の「shovel」から、スコップがオランダ語の「schop」からという語源の違いだけである。
リンス・コンディショナー・トリートメントの定義は統一されておらず、メーカーによって異なるため、商品ごとに成分や特徴を確認して選ぶ必要はあるが、一般的には次のような違いがある。
リンスとコンディショナーは、髪の表面を被膜でコーティングし、指通りを良くし、キューティクルの傷みを防ぐ効果があるものをいう。
基本的に、リンスとコンディショナーに違いはないが、リンス(rinse)には「すすぐ」「ゆすぐ」という意味があり、コンディショナー(conditioner)には「状態を整えるもの」という意味があるため、すすぎやすくすることが目的で作られたものを「リンス」、傷みを防ぐために作られたものを「コンディショナー」と呼んで、区別されることがある。
以前に比べて「リンス」と呼ばれるものが減ってきているのも、この区別の仕方が関係している。
一昔前までのシャンプーは洗浄力が強く、髪がごわついてしまうことから、すすぎやすくするためのリンスが必要であったが、シャンプー自体が変わってきたため、リンスが必要なくなったという訳である。
最近では、表面保護効果に加えて、髪の内部に浸透し、傷みを内部から補修をする成分が含まれたものもある。
特に、コンディショナーにそのようなタイプのものが多いことから、表面をコーティングするだけのものを「リンス」と呼び、内部にも浸透しコーティングするものを「コンディショナー」と呼ぶこともある。
トリートメントは、髪の内部に栄養成分を浸透させ、紫外線や外気でダメージを受けた髪の補修や、髪の質感を調整するもので、リンスやコンディショナーと違い、内部から髪を健康にする目的で作られたものをいう。
リンスやコンディショナーは髪の表面を保護してしまうため、使用の順番としては、シャンプーの後、トリートメントを数分間浸透させて流し、リンスかコンディショナーで保護するのが良いといわれる。
ただし、最近のトリートメントは、リンスやコンディショナーのような保護成分を含むものが多くあり、両方を使うと成分が強すぎて髪を傷める原因にもなるので、使用には注意が必要である。
ファスナー」も「ジッパー」も「チャック」も全て同じ物を指し、違うのはその呼称が使用される国と起源である。
「ファスナー(fastener)」は「留める物」を意味する名詞で、ネジやボルトの類もファスナーである。
日本でいうファスナーの正式名称は、「スライドファスナー(滑り式留金具の意)」といい、日本でファスナーを区別する際には、スライド式のものを「線ファスナー」、ネジやボルト類を「点ファスナー」、マジックテープの類を「面ファスナー」と呼ぶ。
スライドファスナーは、1891年にアメリカのW・ジャドソンが考案し、1893年にユニバーサルファスナー社によって生産が開始された。
「ジッパー(Zipper)」は、1921年にアメリカのグッドリッチ社がファスナーを販売する際に商標登録した商品名で、弾丸の飛ぶ音や、布を裂く音を表す「zip」という擬音語から名付けられた。
アメリカでは「ジップファスナー(Zip fastener)」とも呼ばれ、ジッパーやジップファスナーは、アメリカを中心に世界で広く使用される。
「ジッパー」は登録商標ではなくなったため、現在では一般名称となっている。
チャックは、1927年に尾道で製造販売された「チャック印」という商標登録名で、「巾着」をもじった造語である。
チャック印のファスナーは、丈夫で壊れにくいものであったことから、ファスナー(ジッパー)の代名詞となった。
ただし、その名が広まったのは日本国内のみで、日本以外の国で「チャック」と言っても通じない。
「チャック」も登録商標ではなくなったため、現在では一般名称となっている。
日本のチャックのように、別の呼称を使う国は他にもあり、中国・台湾・香港などでは「ラーリェン」、ドイツでは「ライスフェアシュルース」、イタリアでは「キウズーレ・ランポ」、フランスでは「フェルメチュール・ア・グリシェール」、中米諸国では「シェレス・レランパゴス」や「シェレス・デ・クレマレラス」と呼ばれている。
事典や字典を含めた総称として「辞典」や「辞書」と呼ぶ場合もあるが、「辞」「事」「字」のそれぞれの文字に意味の違いがあるように、本来は使い方にも区別がある。
辞典の「辞」の字には、「言葉」という意味がある。
辞典は言葉を集めて配列し、意味や発音、文法や例文などを解説したものをいい、他と区別するため「ことばてん」とも呼ばれる。
辞典には「国語辞典」「英和辞典」「古語辞典」などがある。
事典は事物や事柄の知識を集めて配列し、内容を詳しく解説したものをいい、他と区別するため「ことてん」とも呼ばれる。
事典には「百科事典」「歴史事典」「科学事典」などがある。
字典は漢字などの文字を集めて配列し、読みや意味、用法などを解説したものをいい、他と区別するため「もじてん」とも呼ばれる。
字典には「書体字典」「かな字典」などがある。
「IT用語辞典」と「IT用語事典」、「経済用語辞典」と「経済用語事典」のように、専門用語を扱う「じてん」には区別が曖昧なものもあるが、言葉の定義の解説が中心であれば「辞典」、事柄の内容の解説が中心であれば「事典」が使われる。
液晶テレビは、液晶が碁盤の目に並んだパネルを、バックライトと光の三原色であるR(赤)G(緑)B(青)に色分けされたカラーフィルターで挟み、液晶に電気を通すことでバックライトの光を調整し、その光がカラーフィルターを通ることで映像となる。
プラズマテレビは、パネル一面にRGBの小さな無数の画素が並んでおり、画素ごとに電圧をかけて中に入っているガスを放電させ、その光が蛍光体に当たって映像となる。
自発光するプラズマテレビは、残像感が少なく、動きの激しい映像も滑らかに表現できるため、スポーツ中継などを観るのに適している。
また、鮮明な黒を表現しやすいため、映画のブルーレイにも良い。
バックライトを当てる液晶テレビは、それぞれに発光させる必要がないため小型化しやすく、消費電力も少ない。
また、「大型テレビに向いていない」「残像感がある」といった弱点があった液晶テレビだが、技術の革新によって改善されている。
ウールとカシミヤは、いずれも動物繊維だが、毛をとる動物に違いがあるため、暖かさ・軽さといった繊維の質、製品の値段に違いがある。
ウールは、広義にはヒツジ・アルパカ・アンゴラ・ラクダの毛を指すが、一般的には羊毛(ヒツジの毛)や、その毛織物を指す。
カシミヤは、インド北部カシミール地方原産のカシミヤヤギから採れる産毛を使って織った毛織物。
カシミヤは「カシミア」とも表記するが、消費者庁家庭用品品質表示法の表記では「カシミヤ」である。
ウールに使うヒツジに比べ、カシミヤヤギの頭数は12分の1程度である上、カシミヤはカシミヤヤギの一部の産毛で、1頭から150~250gしかとることができない。
そのため、カシミヤはウールよりも生産量が少なく、高価な繊維になっている。
ウールもカシミヤも、保温性・保湿性・伸縮性に優れた繊維だが、カシミヤはウールよりも繊維が細く、編んだ時に風を通しにくくなっているため、ウールに比べカシミヤの方が暖かい。
また、ウールよりもカシミヤの方が軽く、上品な光沢があり、肌触りが良い。
和服とは、日本在来の衣服のこと。
明治時代に西洋の衣服が入り、日本に古くからある様式の衣服と、西洋の衣服を区別するため、日本の衣服を「和(日本)服」、西洋の衣服を「洋(西洋)服」と呼ぶようになったものである。
着物は、文字通り「着るもの」のことで、身体に着るものの総称であるが、現在では「和服」のことを「着物」ということが多い。
洋服がなかった江戸時代までは「着るものの総称=着物」であったが、明治時代からは洋服も着られるようになり、着物はそれまで着られていた衣服の総称という位置づけとなったため、「和服=着物」となった。
海外では、「Kimono」が日本の民族衣装を表す言葉となっている。
呉服と反物は、和服用の織物の総称だが、表すものが異なることもある。
呉服の「呉」は、古代中国の呉の国のことで、呉服は呉から伝わった織り方によって織り出した織物をいった。
江戸時代には、綿で作った綿織物を「太物」、正絹で作った絹織物を「呉服」といって区別するための言葉として使われ、綿織物や綿の着物を販売する店を「太物屋」、絹織物や絹の着物を販売する店を「呉服屋」といっていた。
やがて、綿と絹の両方の衣服を扱う呉服太物屋が出てきたため、「呉服屋=着物屋」となった。
ただし、呉服屋と着物屋が同じ意味として使えるのは、普通は反物(織物)と着物の両方を扱うためで、反物のみであれば「呉服屋」か「反物屋」、着物のみであれば「着物屋」というのが正しい。
反物の「反」は、大人の和服一着分の布地である一反のことで、反物は一反に仕上げられている布地のこと。
転じて、和服用織物の総称となった。
呉服は「着物・和服」と同じ意味で使われることもあるが、反物が「着物・和服」の意味で使われることはない。
ハンチング帽は、英語で「hunting cap」。
猟銃などで用いたことから付いた名で、日本語では「鳥打ち帽(鳥打ち帽子)」と呼ばれる。
短い前びさし(つば)が付いており、クラウン(頭頂部)は平たく前傾に覆いかぶさった形状をしている。
キャスケットは、ハンチング帽の一種。
ハンチングとキャスケットの違いに明確な定義はないが、ハンチングはクラウンが平らになっているのに対し、キャスケットはクラウンが2~8枚接ぎ(はぎ)で作られており、丸くボリュームがあるものを指すことが多い。
ベレー帽は丸く平たい形状で、つばや縁のない帽子である。
軍隊などで使われるミリタリーベレー(アーミーベレー)は斜めに被り、どちらか一方を立て、一方を下げることが多い。
その際、ハンチングのような形状になるが、垂れ下がった部分はつばではないため、ハンチングのつばのように硬くはない。
ネックレスとは、首周りを飾るアクセサリーの総称。
「necklace」の「lace(レース)」が「レス」と縮まって「ネックレス」になったもので、「neckless(首が無い)」が語源ではない。
ペンダントの語源は、「ぶら下げる」「吊り下げる」を意味するラテン語「pendere」で、ペンダントは、ぶら下げる形の首飾りや、垂れ下がる耳飾りをいう。
首飾りに限って、ネックレスとペンダントを区別する場合、ネックレスはチェーンのみのものや、ダイヤや真珠が連なったものなど、着用時にU字になるものをいう。
ペンダントは、チェーンの先端にペンダントトップと呼ばれるものが付いており、ペンダントトップの重みで着用時にV字になるものである。
ただし、ネックレスは首飾りの総称であるため、ペンダントトップ付きのV字になるものでも「ネックレス」と呼ぶことがある。
その場合は、ペンダントトップが「ペンダント」と呼ばれる。
また、ペンダントはチェーンからペンダントトップが取り外すことができ、他のチェーンに付け替えられるともいわれるが、チェーンとペンダントトップが一体化したものもあり、全てが取り外しが可能なわけではない。
チョーカーの語源は、「首を絞める」「窒息させる」という意味の「choke」からで、犬の首輪のように、首にぴったり巻く短いネックレスを「チョーカー」という。
素材は革製・ビーズ製・金属製が多いが、チョーカーはネックレスを長さで分類した際の名称なので、素材で区別される訳ではない。
チョーカーを含むネックレスの長さによる名称は、以下の通りである。
チョーカー:35~40cm
タイツとストッキングの違いというと、繊維の太さの単位「デニール」がよく挙げられるが、デニールでタイツとストッキングを区別することはできない。
タイツは、肌をぴったりとフィットするよう作られた衣服で、主に腰からつま先まで包むものをいう。
バレエや演劇などの舞台衣装として作られたものが、スポーツ用、防寒用として広まった。
ストッキングは、丈の長い靴下のことで、特に、薄手でナイロン製の婦人用靴下をいう。
ストッキングには、ハイソックス丈のショートストッキングや、太ももまでのガーターストッキングやノンガーターストッキング、腰まであるパンティストッキングなどあるが、単に「ストッキング」といった場合は、パンティストッキングを指す。
このパンティストッキングが、タイツと区別しにくいものとなっている。
タイツとストッキング(パンティストッキング)が、繊維の太さの単位「デニール」によって区別されるようになったのは、タイツは厚手で、ストッキングは薄手だからである。
しかし、30デニール未満をストッキング、30デニール以上をタイツとするメーカーもあれば、20デニール未満をストッキング、20デニール以上をタイツとするメーカーもある。
弾性ストッキング(着圧ストッキング)には、140デニールや280デニールといったものもあり、デニールでストッキングとタイツは区別できない。
また、日本国外では、厚手をタイツ、薄手をストッキングといった区別もされていない。
つまり、タイツとストッキングの違いとしてハッキリいえることは、衣服なのか靴下なのかという違いだけなのである。
着物は「着る物」と書くように、元々は、体に着るものの総称である。
日本に洋服が入ってきたことによって、明治時代以降、洋服に対して和服をさす言葉となった。
浴衣は着物の一種で、基本的に形状や構造、仕立て方は同じだが、一般的にいう着物とはいくつかの違いがあり、着物と浴衣は区別される。
着物の仕立て方には、裏地があって生地が二重になっている「袷(あわせ)」と、裏地のない生地が一枚の「単衣(ひとえ)」がある。
夏に裏地なしのジャケット、それ以外のシーズンには裏地ありのジャケットを着るように、単衣の着物は夏、袷の着物は秋から春に着る。
浴衣は裏地のない単衣で、夏に着る着物と同じだが、着物は長襦袢(半襦袢)を着た上から着るのに対し、浴衣は長襦袢を着用せず、下着の上に着る。
着物の帯には、袋帯や名古屋帯、半幅帯などあるが、浴衣に分厚い帯を締めると暑苦しくなるため、半幅帯や兵児帯(へこおび)を締める。
着物は足袋を履いてから下駄などを履くが、浴衣は足袋を履かずに素足のまま下駄などを履く。
着物の生地には、絹・木綿・ウール・ポリエステルなどが使われ、浴衣の生地には、綿・コーマ・綿麻・ポリエスエステルなど、暑くなりにくい生地が使われる。
着物は正装として着用されるが、浴衣は入浴時や湯上り時に着られていたものが、就寝時の寝間着、ちょっとした外出時にも着られるようになったものなので、正装としては着られない。
着物と浴衣の違いは上記のとおりだが、基本的な違いであり例外もある。
綿絽・絹紅梅・綿紅梅・奥州木綿・長板中形といった「高級浴衣」を着る際は、長襦袢を着用して、その上から着用することが多く、浴衣に長襦袢を着用する場合は、外出着となるため、足袋を履く。
国際交流などの外国人に着せることも踏まえた場面では、着物ではなく、着用に手間がかからない浴衣のことも多い。
皮とは、「手の皮」や「みかんの皮」など、動植物の外表を覆っている膜。
「餃子の皮」や「饅頭の皮」など、物を覆ったり包んだりしているもの。
「化けの皮」や「欲の皮」など、物事の本質を覆っているものをいう。
革とは、「牛革の靴」「蛇革の財布」など、動物の皮から毛や脂肪などを取り除き、腐敗や硬化することを防ぐために薬品で処理する「なめし加工」をしたもののこと。
「毛皮」はなめし加工してあるが、毛を剥いでいないため、「毛革」と表記しない。
一般的には「皮」と「革」は区別して使われるが、上記のように処理した「革」も動物の皮に変わりないため、「皮」と表記されることも少なくない。
ただし、「みかんの皮」を「みかんの革」と書いたり、「餃子の皮」を「餃子の革」と書くなど、「革」の意味に当てはまらない表記は間違いである。
皮革は、動物の皮を加工したものの総称。
「皮革製品」「皮革商」「皮革工業」などと用いることが多く、日常会話で用いることは少ない。
ジャージとは、伸縮性のある厚手のメリヤス編みの生地のこと。また、その生地で作られた衣類製品。本来は、「ジャージー」という。
ジャージは、耐久性・伸縮性があり、軽くて動きやすいことから、トレーニングウェアに多く使われるため、特に、ジャージ製のトレーニングウェアを指して「ジャージ」と呼ぶことが多い。
ジャージは、スポーツに適した生地であるが、メリヤスが厚いため汗を吸い取りにくいというデメリットがある。
その欠点を補うために開発されたのが「スウェット」で、裏地がパイル地か起毛した綿ジャージとなっており、汗の吸収性が高い。
スウェットも綿ジャージの一種で、本来は生地を指す言葉だが、生地を指す場合は「スウェット生地」や「スウェット素材」と呼び、単に「スウェット」という場合は、スウェット素材で作られた衣類。特に、「スウェットシャツ」のことを指す。
スウェット素材のズボンは「スウェットパンツ」と呼び、シャツとパンツの上下セットは「スウェットスーツ」と呼ぶ。
トレーナーは、「スウェットシャツ」を指す和製英語で、日本のみの表現。
VAN(ヴァンヂャケット)の創業者である石津謙介氏が、「トレーニングシャツ」「トレーニングウェア」から名付けた。
スウェットとトレーナーは基本的に同じものだが、トレーナーは肩や腕を動かしやすくしたラグランスリーブを採用し、袖口・衿まわり・裾などがゴム編みやリブ編みで、伸縮性を持たせているものが多い。
同じ靴を指して、「パンプス」や「ハイヒール」と呼んだりすることがある。
これ自体間違いではないが、必ずしも「パンプス=ハイヒール」とは限らない。
パンプスとは、履き口が大きく開き、紐や留め具がなく、足を滑らせるようにして履く婦人靴の総称。
一方のハイヒールは、かかとの高い婦人靴のことで、一般に、つま先よりかかとが7cm以上あるもの。
3cm以下であれば「ローヒール」、4~6cmぐらいであれば「ミドルヒール」「ミディアムヒール」「中ヒール」などと呼ぶ。
つまり、パンプスは靴の種類を表し、ハイヒールはかかと部分の高さを表しているのである。
かかと部分が7cm以上あるパンプスは、「ハイヒールパンプス」なので「パンプス」でも「ハイヒール」でも間違いではないが、かかと部分の低いパンプスは「ハイヒール」ではない。
また、ハイヒールになっている靴には、ミュールやサンダル、ブーツなどもあるため、「ハイヒール」だからといって「パンプス」とは限らないのである。
入れ墨は、針や刃物で皮膚を傷つけ、そこに墨や絵の具などを入れて文字や絵画を描くこと。また、そのものをいう。
刺青は「入れ墨」を意味する文章語で、本来の読みは「しせい」であったが、谷崎潤一郎の小説『刺青(しせい)』が発表されて以降、「刺青」と書いて「いれずみ」と読むようになり、「入れ墨」よりも「刺青」の方が多く用いられるようになった。
つまり、「入れ墨」も「刺青」も同じものである。
ただし、江戸時代に前科のしるしとして、顔や腕に入れられた墨を表す場合は「刺青」とは書かず、「入れ墨」と表記する。
タトゥー(Tattoo)は、刺青の英語表現である。
そのため、「タトゥー」と言う時は西洋的な絵や文字の洋彫りを指し、「刺青」と言う時は日本的な絵や文字の入った和彫りを指すことが多いが、本質的には、タトゥーも刺青も同じもので、両者に違いはない。
洋彫りは機械彫り、和彫りは手彫りというイメージから、機械彫りのものが「タトゥー」、手彫りのものが「刺青」と言われることもあるが、洋彫りと和彫りは、図柄や構図に違いがあるだけで、洋彫りにも手彫りがあり、和彫りにも機械彫りがある。
その他、和柄と洋柄の違いから、ヤクザがするようなものを「刺青」、ファッション的なものを「タトゥー」と呼び分けたり、全身に入れたものを「刺青」、小さく部分的なものを「タトゥー」と呼び分けたりもされる。
しかし、和柄と洋柄をミックスさせたもの、洋柄でも全身に入ったもの、部分的な和柄もある。
また、柄や大きさに関係なく、高齢であるほど「刺青」と呼び、若年であるほど「タトゥー」と呼ぶ傾向にあるため、刺青とタトゥーの使い分けは、人それぞれが持つイメージの違いによるとしか言いようがない。
入れ墨は、刺青やタトゥーのほか、彫り物(ほりもの)、文身(ぶんしん・いれずみ)、紋身(もんしん)、倶利迦羅紋々(くりからもんもん)、紋々(もんもん)とも呼ばれる。
下着は、上着に対し衣類の下に着けるものの意味で、一般には肌に直接着けるものを指す。
肌着は、肌に着るものを表し、どちらも肌に直接着ける衣類のことである。
しかし、靴下やパンツ、ブラジャーなどは「下着」と呼び、ランニングシャツや股引、肌襦袢などは「肌着」と呼ばれる。
そのため、肌に直接着けるものが「下着」、下着の上に着けるものが「肌着」と分けられることもあるが、そうでもない。
下着と肌着を呼び分けない場合は、一般に「下着」と呼ぶ。
呼び分ける場合は、傾向として、衛生上肌に着けているもの、体形を美しく見せるためのもの、多くの人が当然のものとして着けているものを「下着」。
保温性を高めるため、衛生を維持するために、下着以外に着けるものを「肌着」と呼び分けられている。
また、下着は一部分を覆うもので「着ける」という表現が合うものが多いが、肌着は肌に触れている面積が広く「着る」という表現が合うものが多い。
ランジェリーは、フランス語の「lingerie」からで、女性用の装飾の多い下着や部屋着を指す。
「下着」よりも「ランジェリー」と呼んだ方が綺麗に聞こえるため、装飾のない女性用の下着も「ランジェリー」と呼ぶことがある。
また、基本は女性用であるが、男性用でも装飾性の高い下着を「ランジェリー」と呼ぶようになってきている。
チョッキの語源には、「直着」の意味や、フランス語の「jaque」やポルトガル語の「jaqueta」から、「ジャケット」の訛りなど多くの説があり、正確なことは分かっていないが、日本でのみ使われる言葉で、日本語である。
チョッキは、袖なしの胸・腹・背を覆う丈の短い胴着のことで、インナーシャツとアウタージャケットの間に着る中衣をいう。
ベストは、アメリカ英語の「vest」からで、チョッキと同じものである。
イギリス英語では、ベストのことを「waistcoat(ウェストコート)」といい、イギリスで「vest(ベスト)」と言うと、袖なしの肌着の意味になる。
フランスでいう「vest(ベスト)」は、袖がない点は同じだが、ジャケットやコートのように、アウターとして着るものという意味が強いため、背面まで上質な生地を使い、装飾性の高いものであることが多い。
ジレは、フランス語の「gilet」からで、日本の「チョッキ」やアメリカの「ベスト」と同じく、袖のない中衣を意味する。
中衣であるため、前面にのみ上質な生地が使われる。
このように、国によってベストの意味が違ったり、それぞれの言葉の国に違いはあるが、日本でいう「チョッキ」「ベスト」「ジレ」には違いがなく、基本的には同じものを指す。
強いて違いを挙げるとすれば、「チョッキ」よりも「ベスト」、「ベスト」よりも「ジレ」と言った方が、オシャレに感じるという印象の違いぐらいで、使い分けの定義などはない。
裸足(跣)と素足の違いは、履物を履くか履かないかの違いである。
裸足は、何も履いていない足や、履物を履かずに地面を歩くこと。
素足は、靴下や足袋などを履かないことをいう。
素足は靴下などを履いていないことだが、裸足は靴下だけでなく靴も履いていないこと。
「素足に靴を履く」とは言うが、「裸足に靴を履く」とは言わない。
また、野外で何も履かずに走る場合は、「裸足で走る」と言うのが正しく、「素足で走る」とは言わない。
生足は、靴下やストッキングを履いていない女性の足をいう俗語で、男性には使われない。
素足と同じ意味で使われることもあるが、生足は「生脚」とも表記され、靴下を履いていない足よりも、ストッキングを履いていない足に対して多く使われる。
素足は足首からつま先までに重点が置かれた表現であるのに対し、生足は足首から太もも辺りまでに重点が置かれた表現である。
レギンスを履いている場合、足首より先は何も履いていないため「素足」と言うが、足首より上は隠れているため、「生足」と言うことは少ない。
靴下を履いている場合に「素足」と言うことはないが、靴下を履いていても、脚の露出が多いスカートなどで肌を晒している場合は、「生足(生脚)」と言うことがある。
コスプレは、コスチュームプレイを略した和製英語で、漫画・アニメ・ゲームのキャラクターや、ビジュアル系バンドのメンバーなどの衣装や髪型を真似てなりきること。
近年は、扮してなりきるという意味が拡大し、メイドや学生、警察官などの制服、更に、動物の着ぐるみなどもコスプレ衣装に含まれるようになっているが、本来は、特定のキャラクターや人物に扮することであり、仮装・変装・扮装とは異なる。
コスプレは和製英語ではあるが、英語で「cosplay」と表記し、世界で通用する言葉になっている。
仮装は、普段の服装とは異なる服装をすること。
仮装の対象には、特定のキャラクター・人物に限らず、動物や制服、更に、ボウリングのピンや缶などの物も含まれる。
ハロウィン・仮装パーティー・仮面舞踏会・仮装行列・宴会の余興など、集団的に行う際に多く使われる言葉である。
偽装(擬装)の同義語で、仮装売買など実際の出来事とは異なるように見せかける意味や、仮装空母など相手を欺くために、ある物に見せかけるという意味でも用いられる。
変装は、別人に見せかけるために、風貌や服装を変えること。
余興向けの変装グッズなども売られているが、本来は、正体が他人にばれないよう隠すための行為で、指名手配の犯人やスパイ、尾行する刑事が姿を変えること表す場合に多く用いられる。
変装は他人に見られるためにするものではないため、コスプレのように派手な衣装ではなく、帽子・カツラ(ウイッグ)・眼鏡(サングラス)・化粧(付けヒゲ・付けボクロ)・マスク・制服などが使われる。
扮装は、衣装や顔かたちを装うこと。
一般には仮装と同じ意味で、ある人物などに似た格好をすることをいうが、特に、俳優がその役柄らしく装う意味で用いられる言葉であるため、服装を変えることよりも、演じることが中心にある。
変装と同じく、他人を欺くために姿を変えることをいう際にも、扮装は用いられる。
マフラー(muffler)とは、防寒用の細長い長方形の襟巻きのこと。
防寒用のため、毛糸などを編んだ厚生地のものが多く、他に比べボリュームを出すには適しているが、かさばりやすい。
基本的には、寒い冬の時期にしか使用しない。
男女問わず使用される。
ストール(stole)は、マフラーと同じように襟巻きとして使われることも多いため混同されるが、本来は肩掛けである。
マフラーよりも生地は薄く、幅が広くて長いものが多い。
ストールの生地は様々であるため、季節によって適した生地を選ぶことで、オールシーズン利用できる。
また、柄のあるデザインのものが多く、アクセントとしても使用できる。
主に女性が使用するものであったが、現在は男女問わず使用される。
ショール(shawl)とストールは、生地や見た目の違いは明確でなくなっているが、スートールよりも大判で厚手のものを「ショール」と呼ぶことが多い。
ストールは襟巻きとしても使われるが、ショールは巻いて使わず、三角形に折って肩に掛けたり、頭巾のように頭に被ったりする目的で使われる。
基本的に女性が使用するものである。
スカーフ(scarf)は、正方形の薄手の布で、マフラー・ストール・ショールに比べてかなり小さい。
頭を覆ったり、首に巻く装飾用のもので、他のように防寒に用いられない。
主に、女性が使用するものだが、男性の使用も増えている。
日本でいうスカーフは上記のようになるが、英語では襟巻きや肩掛け、結びネクタイなど幅広い意味で使われている。
そのため、海外ブランドの通販サイトでは、マフラーはスカーフのカテゴリに入っていることが多い。
デニムとジーンズとジーパンの違いを簡単にまとめるらなば、デニムは生地、ジーンズはデニム生地のズボン、ジーパンはジーンズを指す和製英語といえる。
デニム(denim)は、丈夫な綾織りの厚地綿布のこと。
デニム生地で作られたパンツを「デニムパンツ」といい、それを略して「デニム」と呼ぶため、ジーンズ(ジーパン)と同義に扱われることも多いが、フランス語のserge de Nîmes(ニーム産のサージ生地の意)が語源といわれるように、本来、デニムは生地を指す言葉である。
ジーンズ(jeans)は、一般的には、デニム生地や他の綿素材の厚手織物生地で作られたカジュアルなズボンを指す。
ジーンズの語源は、ジーン生地の産地であるイタリアのジェノヴァを表すフランス語Gêne(ジェーヌ)で、英語に入ってjean(ジーン)となり、jeans(ジーンズ)になったといわれる。
jeansと複数形になっているのは、脚に着用するものを英語では、socks(靴下)、pants(パンツ)、shoes(靴)というように、左右の脚を別として捉え、複数形にするためである。
つまり、jeanであったら生地を指していたが、jeansと複数形になっているので、生地ではなくズボンを表すことになる。
ただし、「ジェノヴァ製」という意味の「Genes」や、「ジェノヴァ人」を意味する「Genoese」からという説もあるためか、生地という認識があるためか、ジーンズはズボンに限らず、デニム生地で作られた衣類全般を指すこともある。
ジーパン(Gパン)は和製英語で、ジーンズの生地で作られたズボンのこと。
ジーンズとジーパンは同じであるが、ジーンズは生地を表すこともあるため、和製英語のジーパンの方がより限定的な表現となる。
ジーパンの語源には、GIが履いてるパンツの略という説もあるが、チノパンがチノクロス生地で作られたパンツの略であるように、ジーパンはジーンズパンツの略とする説が有力。
ジージャン(Gジャン)も、ジーンズジャンパーの略である。
jeans+pantsなのに、JパンではなくGパンと書かれる理由は、単に「ジーパン」の「ジー」を「G」で表現しただけと考えるのが妥当。
ジーンズの語源がGenova(ジェノヴァ)に由来するためともいわれるるが、語源を辿って表記が作られることは稀で、「Gパン」の表記が生まれた時代であれば、なおさら考えがたい。
日本で「スパッツ」と呼ばれるものは、欧米では「レギンス」と呼ばれ、基本的には同じもの。
日本に「レギンス」という呼称が入る以前の「スパッツ」は、丈も膝上から足首あたりまでの様々な長さのものを指していた。
しかし、2006年頃、日本ではアウターとして着用するスパッツを売り出すために、ファッション業界が新しいファッション用語として「レギンス」を使い始めたことで、スパッツは丈が膝上までで、スポーツのトレーニング用や下着として履くもの。
レギンスは丈が膝下から足首までで、アウターとして履くものというイメージが強くなり、両者は区別されるようになっている。
スパッツもレギンスもタイツの一種であるが、単に「タイツ」といった時には、腰からつま先までを覆うものを指す。
トレンカは「トレンカレギンス」とも呼ばれるように、レギンスの一種であるため、タイツの一種でもある。
土踏まずの部分に引っ掛ける部分があり、タイツのつま先部分とかかと部分を切り取った形をしたものが、トレンカである。
ちなみに、本来のスパッツは、ほこりをよけたり、足首やすねを保護するために靴に覆うゲートル(脚絆)のことであるが、日本では誤って、伸縮性のある素材でできた足首までの長さの衣類を指すようになった。
レギンスも、元々は西洋型のゲートルの呼称で、その形状から、乳幼児用の脚にぴったりした細いズボンを指すようになり、女性ファッションに流用されたもので、呼称の変化が似ている。
下駄は、木製の台に3つの穴を開け、鼻緒をすげた履物の総称。
台部に2本の歯がついたものが多いが、台部に歯を造作しないぽっくりや、土踏まずの辺りだけをくり抜いた右近などもあり、必ず下駄に歯があるとは限らない。
草履は、歯がなく、底が平らで、鼻緒をすげた履物。
昔は、藁や竹皮などを編んだものであったが、現代では、合皮・革・布・ビニール・コルク・ゴムなどでも作られ、種類が多い。
雪駄は、竹皮草履(畳表)の裏に革を張り付けたもので、千利休の創意したものと伝えられる。
のちに、水気が染み透らないよう、かかと部分に金具が付けられ、金物の音をカチカチと鳴らして歩くのが粋といわれた。
雪駄は草履の一種であるため、雪駄を草履と呼んでも間違いではないが、草履が雪駄であるとは限らない。
草履と雪駄の違いは、表と裏の間に挟まれる「重ね芯」の枚数で、雪駄は重ね芯が1の3(つま先部分1枚、かかと部分3枚)以下のものである。
また、雪駄の多くは、底のかかと部分に金具が付いているため、重ね芯の枚数と金具の有無で草履と雪駄が区別される。
わらじ(草鞋)は、藁で足型に編んだ履物で、藁草履と混同されることも多いが、形状や使用目的が異なるものである。
草履は、サンダルのような形状で鼻緒が付いているだけなので、長距離の歩行には適していない。
わらじは、つま先にある2本の藁緒を、左右の縁にある「乳(ち)」と呼ばれる小さな輪や、かかとから出る「かえし」と呼ばれる長い輪に通し、足首を縛り付けて固定できる形状となっており、長距離歩行に使用された履物である。
ノースリーブは、「sleeve(袖)」が「no(ない)」という意味から作られた和製英語で、英語では「sleeveless(スリーブレス)」という。
袖のないトップスであればノースリーブになるため、襟付き・襟なしといった、袖部分以外のデザインは関係なく、タンクトップやランニングシャツもノースリーブの一種である。
一般には、もともと袖のあるデザインのトップスから袖部分を取り除いたものをいうが、もともと袖のないデザインのトップスもいい、上着・下着といった区別もないため、ノースリーブの指す範囲は広い。
タンクトップは、タンク(プールの意)で着用する水着「タンクスーツ」のトップ(上部)に似ていることから付けられた名。
首まわりと腕まわりが大きく露出したものが多いが、女性用の上着では、首まわりが詰まったデザインのタンクトップもある。
ランニングシャツは和製英語で、競走・競技用のシャツや、それと同じ型の男性用下着をいう。
普通、袖なしで襟ぐりの深いシャツを指すが、運動着としてのランニングシャツの中には、袖ありのランニングシャツも存在する。
上着としていう場合、タンクトップもランニングシャツも、女性用・男性用を問わず使われる呼称だが、タンクトップはファッション的な服の意味で使われ、ランニングシャツは運動着を指すことが多い。
下着としていう場合、女性用は「タンクトップ」、男性用は「ランニングシャツ」と呼び分けられる。
ただし、ランニングシャツは「おじさんが着る肌着」というイメージもあり、男性用の下着でも、デザインを重視したものは「タンクトップ」、肌着としての機能を重視したものは「ランニングシャツ」と呼び分けられることもある。
ワイシャツもカッターシャツも和製英語で、ワイシャツはホワイトシャツの訛りであるが、白いシャツに限らず、色や柄のついたものも指す。
カッターシャツは、スポーツ用品メーカーのミズノ(美津濃)が作ったスポーツ用シャツで、元は商標名であったが、現在ではワイシャツのことをいう。
ワイシャツとカッターシャツは同じものを指すが、「ワイシャツ」は東日本で多く呼ばれ、「カッターシャツ」は西日本で多く呼ばれる。
西日本で「カッターシャツ」と呼ぶことが多くなったのは、ミズノの本社が大阪にあり、呼称が浸透しやすかったからと考えられる。
社会人が背広の下に着るものを「ワイシャツ」と呼び、学生が学生服の下に着るものを「カッターシャツ」と呼び分ける地域もある。
呼び分けの始まりは不明だが、カッターシャツは元々スポーツ用シャツなので、イメージ的に学生とは結びつくが、社会人には結びつきにくいことや、学生服は制服(ユニフォーム)で、背広は制服ではない、学生服の下に体操服を着る学校もあるといったことから、学生服の下に着るのが「カッターシャツ」で、背広などの下に着るのが「ワイシャツ」と呼び分けるようになったのであろう。
ミュールは、つま先部分は覆われていて、かかと部分にベルトやストラップなどの留め具がなく開いており、ヒールの高い履物のこと。
元々は、室内履きや外出時の泥除けとして履かれたものだったため、かかと部分が固定されず、つっかけて履く形状をしている。
「ミュールサンダル」や「バックレスサンダル」とも呼ぶように、ミュールはサンダルの一種である。
また、映画『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーンが履いていたことから、日本では「ヘップサンダル」とも呼ばれる。
サンダルは、足全体を覆い包まず、底部を紐やバンドなどで固定する履物のこと。
ギリシャやローマなどで、熱砂から足裏を保護するために作られたものが起源であるため、このような形状をしている。
ミュールとの比較において、かかと部分に留め具があるものを「サンダル」と定義されることもあるが、ビーチサンダルなど、かかと部分に留め具がないサンダルは多く存在する。
パンプスは、履き口となる甲の部分が大きく開いており、紐やベルト・留め具などを使わずに履く靴の総称。
基本的には、つま先・かかと部分は覆われているが、つま先部分が開いている「オープントゥパンプス」や、かかと部分の開いた「オープンバックパンプス」などもあり、ミュールやサンダルと区別しにくいものが、オープンバックパンプスである。
オープンバックパンプスは、かかと部分に留め具がないミュールと違い、かかとの少し上にバックベルトがある。
基本的には、ベルトなどを使わず履くのがパンプスであるが、パンプスの形状にかかと部分を開けたものなので、パンプスの一種となる。
また、暑さ対策のため、足全体を覆い包まないよう作られたサンダルとは違い、オープンバックパンプスは、デザインとして部分的に開けられたもので、基本的につま先部分は覆われている。
ファスナー」も「ジッパー」も「チャック」も全て同じ物を指し、違うのはその呼称が使用される国と起源である。
「ファスナー(fastener)」は「留める物」を意味する名詞で、ネジやボルトの類もファスナーである。
日本でいうファスナーの正式名称は、「スライドファスナー(滑り式留金具の意)」といい、日本でファスナーを区別する際には、スライド式のものを「線ファスナー」、ネジやボルト類を「点ファスナー」、マジックテープの類を「面ファスナー」と呼ぶ。
スライドファスナーは、1891年にアメリカのW・ジャドソンが考案し、1893年にユニバーサルファスナー社によって生産が開始された。
「ジッパー(Zipper)」は、1921年にアメリカのグッドリッチ社がファスナーを販売する際に商標登録した商品名で、弾丸の飛ぶ音や、布を裂く音を表す「zip」という擬音語から名付けられた。
アメリカでは「ジップファスナー(Zip fastener)」とも呼ばれ、ジッパーやジップファスナーは、アメリカを中心に世界で広く使用される。
「ジッパー」は登録商標ではなくなったため、現在では一般名称となっている。
チャックは、1927年に尾道で製造販売された「チャック印」という商標登録名で、「巾着」をもじった造語である。
チャック印のファスナーは、丈夫で壊れにくいものであったことから、ファスナー(ジッパー)の代名詞となった。
ただし、その名が広まったのは日本国内のみで、日本以外の国で「チャック」と言っても通じない。
「チャック」も登録商標ではなくなったため、現在では一般名称となっている。
日本のチャックのように、別の呼称を使う国は他にもあり、中国・台湾・香港などでは「ラーリェン」、ドイツでは「ライスフェアシュルース」、イタリアでは「キウズーレ・ランポ」、フランスでは「フェルメチュール・ア・グリシェール」、中米諸国では「シェレス・レランパゴス」や「シェレス・デ・クレマレラス」と呼ばれている。
カットソーは「カット&ソーイング(Cut&Sewn)」の略で、生地を裁断して縫い合わせたものを表す。
Tシャツも生地を裁断して縫い合わせてあるので、カットソーの一種。
ポロシャツやタンクトップ、キャミソールなどもカットソーの一種だが、メーカーや店舗によっては「Tシャツ」を「カットソー」と呼び、ポロシャツなどと区別していることがある。
また、カットソーは「お落なTシャツ」「高級なTシャツ」と勘違いされている部分もあるため、シンプルなTシャツを「Tシャツ」と呼び、デザインされたお洒落なTシャツを「カットソー」と呼んでいることもある。
そばかすはシミの一種だが、シミとそばかすは別物と捉えられることが多い。
それは、一般に「シミ」と呼ばれるものと「そばかす」には、できる原因や特徴に違いがあるためである。
シミとそばかすの一番の違いは、「遺伝性か後天性か」にある。
そばかすの主な原因は遺伝によるもので、白人に多く、黄色人種である日本人の中では色白の人に多い傾向にある。
一般的なシミの原因は、紫外線によるダメージ、ニキビ跡などの炎症、加齢による肌の機能低下など、遺伝性ではなく後天性である。
そのため、そばかすに比べてシミのほうが、日頃のスキンケアで防ぎやすい。
そばかすは遺伝性であるため、幼少期に現れ始め、徐々に濃くなり、加齢に伴い薄くなっていく傾向にある。
シミは後天性であり、加齢も原因のひとつであるため、年齢を重ねるごとに濃くなる傾向にある。
ただし、シミもそばかすも紫外線を浴び続けることで悪化したり、ホルモンバランスの乱れによって悪化しやすいという点は共通する。
そばかすができやすい場所は、鼻を中心にした頬全体だが、顔以外にも、首・胸元・肩などの紫外線を多く浴びる場所にできやすい。
シミができやすい場所も、紫外線を多く浴びるところだが、シミは皮膚の炎症も原因のひとつであるため、紫外線を浴びにくいところにもできる。
また、夏には強い紫外線が薄い衣服を通過して肌に到達してしまうため、背中などの隠れたところにもシミは発生しやすい。
シミの形は不定形で斑点の大きさも様々だが、そばかすは円形に近い三角形や四角形で、1~4mm程度のものが多い。
また、そばかすは散らばったようにできるが、シミはそばかすのように同じような間隔にはなっていない。
薄毛やハゲの主な対策として、発毛、育毛、増毛、植毛の4種類ある。
発毛とは、髪の毛が抜けて生えなくなった毛穴から、再び毛が生えるようにすること。
毛が生えやすい健康な状態の頭皮に改善するものである。
育毛とは、今現在生えている髪の毛を健康にし、太くて抜けにくい毛にすること。
増毛とは、自分の1本の髪の毛に複数本の人口毛を結びつけたり、人工毛を結び付けた透明な細い糸を髪の毛と髪の毛の間に括りつけること。
また、特殊樹脂の微粒子を吹きつけて、髪の毛の量が増えたように見せるスプレータイプのものもある。
植毛とは、毛穴に人毛や人口毛を植えつけること。
4種類の中で、自然で費用も安く済むのは、発毛と育毛である。
しかし、発毛は毛が生えていないところに生えさせるため、時間がかかるというデメリットがある。
また、頭皮の状態によっては、発毛させられない場合もあり、確実な薄毛対策ではない。
育毛には、時間がかかることと、毛根がない頭皮には育毛できないというデメリットがある。
増毛のメリットは、一気に毛を増やすことができることである。
しかし、根本的には何も薄毛の解決にならないものである。
増毛は、1本の毛に数本の毛をつけるため、自毛へ負担をかけることや、自毛が伸びても人口毛は伸びないため、自分の毛をカットして長さを調整したり、増毛のメンテナンスで費用がかさむというデメリットがある。
増毛スプレーならば費用は安いが、不自然で他人にバレやすい。
植毛は、発毛、育毛、増毛とは異なり、手術を要する医療行為で、保険適用外というデメリットはあるが、髪の毛を増やすという点では最も確実な方法である。
人口毛を使う場合は、炎症など拒否反応を起こすこともあるが、ハゲにくい後頭部や側頭部にある自分の髪の毛を、生えていない部分に植える方法では、拒否反応は比較的少ない。
発毛、育毛に関しては、増毛や植毛のように専門家に頼らなくても、市販の発毛剤や育毛剤を購入する方法があるが、頭皮や髪の毛の状態によって適した発毛剤・育毛剤は異なるため、どの方法を選ぶにしても、まず専門家の意見を聞いた方が良い。
頭に生える毛の呼称には、髪、髪の毛、頭髪、毛髪などがある。
一般によく使われるのは「髪」と「髪の毛」で、両者を置き換えても差し支えないことが多いが、使い分けるとすれば、頭に生えた毛全体には「髪」、1本1本の毛を指すには「髪の毛」と使い分ける。
髪は全体を指していうことから、「髪が乱れる」「髪をつくる」というように、髪型の意味でも使われ、「髪の毛が乱れる」というと、髪の一部が乱れた印象を与える。
髪の毛は髪の1本1本の毛を表すことから、飲食店で料理に毛が入っていた場合、普通は「髪が入っている」といわず、「髪の毛が入っている」という。
頭髪は、髪の改まった言い方である。
「頭髪検査」や「頭髪治療」などの決まった言葉であれば会話中にも使われるが、話し言葉として使うことは少なく、主に、文章の中で使われる。
毛髪は髪の毛と同じ意味で使われることが多いため、あまり知られていないが、本来、毛髪は人の体毛の総称で、髪の毛に限っていう言葉ではない。
ストレートパーマも縮毛矯正も、髪の毛を真っ直ぐにするという点では同じだが、その目的、施術工程や施術時間、料金、持続期間、ダメージの度合など、ストレートパーマと縮毛矯正には様々な違いがある。
ストレートパーマは「パーマ落とし」という別名もあるように、パーマをかけた髪を真っ直ぐに戻すためのパーマで、パーマをかけた人や、軽いくせ毛の人が対象。
一方の縮毛矯正は、縮れた毛をを真っ直ぐに矯正するためのもので、くせの強い地毛の人が対象である。
ストレートパーマも縮毛矯正も、髪の毛を柔らかくする薬剤(1剤)の後、髪の毛にハリを与えストレートな状態を定着させる薬剤(2剤)の二種類の薬剤を使用する点は同じである。
しかし、ストレートパーマは1剤の塗布後、クシで真っ直ぐに伸ばし、2剤を塗布してストレートな状態を定着させるのに対し、縮毛矯正は1剤の塗布後に高温のヘアアイロンで真っ直ぐに伸ばし、2剤を塗布して定着させる。
この工程の違いから、次のようなメリット・デメリットが生まれる。
ストレートパーマのメリットは、髪へのダメージが小さい。施術時間が短い。料金が安い。自然なストレートになる。パーマなので落とすことができることなどが挙げられる。
デメリットとしては、縮れ毛の度合が強い髪には効果がない。くせが完全に伸び切らない。継続期間が短いことである。
縮毛矯正のメリットは、頑固なくせが真っ直ぐに伸ばせる。継続期間が長いこと。
デメリットは、髪へのダメージが大きい。施術時間が長い。料金が高い。真っ直ぐになり過ぎて不自然になることである。
あくまでも、上記のメリット・デメリットは、同じ美容室・同じ美容師が施術した場合という条件での比較である。
ストレートパーマも縮毛矯正も、高度な技術・化学的知識・経験値が必要なものなので、上手な美容師の縮毛矯正よりも、下手な美容師のストレートパーマの方が髪が傷むことは十分にある。
ヨガ(ヨーガ)とピラティスは似たものと思われがちだが、ヨガとピラティスでは、成り立ちや技法、使用する道具など、多くの違いがある。
ヨガは元々、古代インドに伝わる宗教的な修行法で、心身を鍛錬し、精神を統一して悟りを開くことを目的としたもので、精神面に重点が置かれる。
一方のピラティスは、第一次世界大戦の時、ドイツ人の従軍看護師ジョセフ・ピラティスが考案したリハビリ用のエクササイズから発展したもので、肉体面(インナーマッスル)に重点が置かれる。
ヨガとピラティスの技法で最も異なる点は、呼吸法。
ヨガはお腹を膨らませたりへこませたりして息をする腹式呼吸で、副交感神経が優位になるため、筋肉をやわらげ、リラックスすることができる。
ピラティスは胸を膨らませたりしぼめたりして息をする胸式呼吸で、交感神経が優位になるため、興奮した状態となり、筋肉の動きを活発にすることができる。
ヨガとピラティスのポーズは似ているものも多いが、ヨガは静止が基本で瞑想があるのに対し、ピラティスに瞑想はなく、ゆっくりとした動きではあるが一連の流れに沿って体を動かす。
ヨガで使用する道具は、ヨガマットとヨガブロックぐらいであるが、ピラティスはマットやブロックに加え、バランスボール(エクササイズボール)、セラバンド(エクササイズバンド)、フォームローラー(ストレッチポール)、フィットネスサークル(レジスタンスサークル)など、使用する道具の種類が多い。
また、ピラティスにはヨガのようにマットの上で行う「マットピラティス」のほかに、ジョセフ・ピラティスが開発したピラティス専用器具を使用する「マシンピラティス」がある。
薬事法では、薬や化粧品を「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3種類に分類・定義している。
医薬品は、厚生労働省によって配合されている有効成分の効能・効果が認められており、病気や怪我の治療、予防を目的としたもので、いわゆる「薬」のこと。
医薬品には、医師の指示で処方される「医療用医薬品」と、薬局・薬店などで販売される「一般用医薬品」がある。
医薬部外品は、医薬品に準ずるもののこと。
厚生労働省によって効能・効果が認められた有効成分が一定の濃度で配合されているが、効き目は緩やかで、医薬品のように必ず効果が現れるというものではなく、効果が期待できるレベルのものが医薬部外品である。
病気や怪我の治療というより、予防や衛生を主な目的としている。
医薬部外品は医薬品のような副作用のリスクを伴わないため、コンビニやスーパーなどの一般小売店でも販売が可能である。
「薬用」や「薬用化粧品」と書かれた「栄養ドリンク」「育毛剤」「薬用シャンプー」「薬用歯磨き」などは、化粧品ではなく医薬部外品に含まれる。
化粧品は、身体を清潔する、美化する、魅力を増す、健やかに保つといった目的のもののこと。
医薬部外品よりも、さらに効果・効能は緩やかになる。
以前は個々の商品について、厚生労働大臣の許認可が必要であったが、2001年の規制緩和によって、メーカーの判断で自由に開発できるようになった。
ただし、含有できない成分は厳しく定められており、医薬部外品では認められている効果・効能の表現もできない。
また、全使用成分の表示も義務付けられるようになった。
口紅やファンデーションといった、いわゆる「化粧品」のほか、「スキンケア用品」「石鹸」「シャンプー」「リンス」「歯磨き」なども化粧品に含まれる。
形成外科」を以前は「成形外科」と呼んでいたり、「美容外科」を「美容整形外科」や「整形美容外科」などと呼ぶため、整形外科と形成外科と美容外科は混同されることもあるが、整形外科と形成外科と美容外科では扱う対象が異なる。
整形外科とは、骨・関節・筋肉・じん帯・脊髄などの運動器系に関わる先天的・後天的な機能障害や形状変化を扱う分野。
骨折や脱臼、捻挫、椎間板ヘルニアや関節リウマチ、骨粗しょう症などの治療・予防・矯正を行うのが「整形外科」である。
形成外科とは、皮膚から人体の浅い表面部分の先天的・後天的な形態異常を扱う分野。
火傷や傷跡などで皮膚移植をしたり、ケロイド、顔面骨折など治療を行うのが「形成外科」である。
美容外科とは、容姿・容貌を美しくするための手術などを行う科。
「美容整形」や「整形美容」などとも呼ばれるが、形成外科の一分野であるため、整形外科の治療対象とは大きく異なり、看板に「形成美容外科」や「美容形成外科」と書かれていることも多い。
美容外科は、疾患を伴うものではなく、美容を主な目的としているため、多くの場合は健康保険が適用されず、全額自己負担の自由診療となる。
美容外科では、目・鼻・口などの形状や、顔の輪郭を変えたり、豊胸・脂肪吸引・しわ取り・脱毛・わきがの治療などを行うが、もっとも多い希望は、一重まぶたを二重まぶたにする「眼瞼形成術」などの目の美容形成といわれる。
口紅は、唇に塗る化粧品で、日本で最も一般的な表現である。
名前の通り、色は紅色が中心であるが、現在は様々な色の口紅が販売されている。
口紅のメリットは、発色の良さと色味の豊富さであるが、落ちにくい、単独で使用すると唇がかさつくなどのデメリットもある。
グロス(Gloss)は「リップグロス(Lip gloss)」の略で、グロスは「艶」や「光沢」を意味する。
唇に艶を出すために用いるもので、透明や半透明のものが多い。
グロスのメリットは、塗りすぎなければ自然な感じに艶を出せたり、プルプルした質感を出せることだが、発色がない、落ちやすく持ちが悪い、塗りすぎるとテカテカして下品に見えるといったデメリットがある。
口紅とグロスは用途が異なるため、グロスを塗った上から口紅を塗るなど、両方使うことも多い。
また、口紅の発色とグロスの艶の両方を兼ね備えたものには、リキッドタイプのリキッドルージュがある。
ルージュ(Rouge)は、英語ではなくフランス語で「赤色」を意味する。
口紅をフランス語では、「ルージュ・ア・レーブル(Rouge à lèvres)」といい、「lèvres」は「唇」を指す。
日本では「口紅」と「ルージュ」とが全く同じ意味で用いられ、紅色以外の色でも「口紅」と呼ぶように、赤以外の色でも「ルージュ」と呼ぶ。
リップ(Lip)は、英語で「唇」のことだが、日本では主に「リップクリーム」の略として使われている。
英語で口紅は「リップスティック(Lipstick)」だが、日本で「リップスティック」と言っても、普通は「リップクリーム」のことを指す。
ただし、「リップクリーム」という言葉自体が和製英語なので、英語圏で言うならば「リップバーム(Lip balm)」である。
リップクリームは、主に唇の乾燥を防ぐために塗る軟膏で、口紅を塗る際の下地としても使われる。
色付きリップも存在するが、乾燥を防ぐことが主な目的として作られているため、口紅ほどの発色はない。
ひげを表す漢字には「髭」と「鬚」と「髯」がある。
単に「ひげ」といった場合は「髭」の漢字を使うが、口ひげ(口の上の毛)は「髭」、あごひげは「鬚」、ほおひげは「髯」と生えている場所によって使い分けられる。
髭・鬚・髯に共通する部首の髟(かみがしら)は、かみの毛を表す。
髭の「此」は、ぎざぎざとしてふぞろいな様で、髭は口の上(鼻の下)のふぞろいなひげ。
鬚の「須」の字は、元々、あごひげの垂れた老人を描いた象形文字であったが、のちに「彡(長い毛や沢山の毛)+頁(あたま)」で、柔らかいあごひげを表すようになった。
髯の「冉」は、柔らかいひげが左右に垂れた姿を描いた象形文字で、髯は柔らかいほおひげを表す。
英語では、口ひげが「a mustache(米)」「a moustache(英)」、あごひげが「a beard」、ほおひげが「whiskers」。
日本語の「ひげ」のように生えている場所による区別をせず、単に「ひげ」という時には、口ひげではなく、あごひげの「a beard」が使われる。
その他、「mustachios(大きな口ひげ)」や、「a goatee(やぎひげ)」という単語もある。
香水は、香料をアルコールで溶かした液体。
化粧品業界では、香料濃度(賦香率)の高い順に、パルファム・オードパルファム・オードトワレ・オーデコロンと分類している。
日本では、オーデコロン・オードトワレ・オードパルファム・パルファムを総称して、「香水」と呼ぶことが多い。
日本の薬事法では香水の分類・規制がないため、メーカー毎に呼び分け方に違いもあるが、目安として次のように区別される。
パルファム(パルファン)は、濃度15~30%、持続時間5~7時間。
濃度が高いため小量で効き、香りが長持ちする。
英語で「香水」を意味する「パフューム(perfume)」は、フランス語の「パルファム(parfum)」と同源で、狭義に「香水」といえば「パルファム」を指す。
オードパルファム(オードパルファン)は、濃度10~15%、持続時間5~7時間。
パルファムのように香りに深みがあり、持続時間が長いが、濃度が低いため、価格もパルファムより低く設定されているものが多い。
「eau de parfum」の頭文字から、「EDP」と表記される。
オードトワレは、濃度5~10%、持続時間3~4時間。
濃度が低めで、ほんのり数時間香るため、普段使いに適している。
「eau de toilette」の頭文字から、「EDT」と表記される。
オーデコロンは、濃度2~5%、持続時間1~2時間。
シャワーを浴びた後のような感覚で使ったり、初めて香水を使う場合に適している。
「eau de Cologne」の頭文字から、「EDC」と表記される。
非常に濃度が低いため、オーデコロンと香水(パルファム・オードパルファム・オードトワレの総称として)に分類されることもある。
リンス・コンディショナー・トリートメントの定義は統一されておらず、メーカーによって異なるため、商品ごとに成分や特徴を確認して選ぶ必要はあるが、一般的には次のような違いがある。
リンスとコンディショナーは、髪の表面を被膜でコーティングし、指通りを良くし、キューティクルの傷みを防ぐ効果があるものをいう。
基本的に、リンスとコンディショナーに違いはないが、リンス(rinse)には「すすぐ」「ゆすぐ」という意味があり、コンディショナー(conditioner)には「状態を整えるもの」という意味があるため、すすぎやすくすることが目的で作られたものを「リンス」、傷みを防ぐために作られたものを「コンディショナー」と呼んで、区別されることがある。
以前に比べて「リンス」と呼ばれるものが減ってきているのも、この区別の仕方が関係している。
一昔前までのシャンプーは洗浄力が強く、髪がごわついてしまうことから、すすぎやすくするためのリンスが必要であったが、シャンプー自体が変わってきたため、リンスが必要なくなったという訳である。
最近では、表面保護効果に加えて、髪の内部に浸透し、傷みを内部から補修をする成分が含まれたものもある。
特に、コンディショナーにそのようなタイプのものが多いことから、表面をコーティングするだけのものを「リンス」と呼び、内部にも浸透しコーティングするものを「コンディショナー」と呼ぶこともある。
トリートメントは、髪の内部に栄養成分を浸透させ、紫外線や外気でダメージを受けた髪の補修や、髪の質感を調整するもので、リンスやコンディショナーと違い、内部から髪を健康にする目的で作られたものをいう。
リンスやコンディショナーは髪の表面を保護してしまうため、使用の順番としては、シャンプーの後、トリートメントを数分間浸透させて流し、リンスかコンディショナーで保護するのが良いといわれる。
ただし、最近のトリートメントは、リンスやコンディショナーのような保護成分を含むものが多くあり、両方を使うと成分が強すぎて髪を傷める原因にもなるので、使用には注意が必要である。
床屋は男性が行くところでシャンプーは前かがみ、美容室は女性が行くところでシャンプーは仰向けといったイメージがあるが、性別による区別もなければ、仰向けにシャンプーをする床屋も増えている。
床屋と美容室の違いは、理容師法と美容師法という法律による業務範囲の違いで、理容と美容の定義が異なる。
理容は、頭髪の刈込、顔剃り等の方法により容姿を整えること。
美容は、パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること。
理容師の仕事は、断髪令がしかれた文明開化あたりに遡り、髪をカットして揃えるのは男性であった。
一方、女性は髪を結うのが一般的で、カットして揃えるという概念がなかった。
そのため、理容と美容に分かれ、「男性が床屋」「女性が美容室」というイメージが定着した。
顔剃りができるのが床屋、顔剃りができないのが美容室と区別するのは法律的にも間違っていない。
ただし、「化粧に付随した軽い顔剃りは行っても差し支えない」とされており、床屋と美容室の垣根はなくなりつつある。
床屋の呼称には「理容室」「理髪店」「散髪屋」などがあり、美容室には「美容院」といった呼称がある。
これらの呼称の違いは、屋号による違いだけで、特に決まったルールはない。
法律用語で理容施設をいう場合は「理容所」、美容施設は「美容所」といい、「室」も「店」も「院」も「屋」も使われない。
病気や負傷の程度がおもく、危険な状態にあることを意味する「じゅうたい」の漢字には「重体」と「重態」がある。
この二つの違いは、以下のようにいわれることもある。
重体は事故などで生命の危機にある状態をいい、重態は危篤状態が続いていること。
重体は命にかかわるような病気や負傷の状態をいい、重態は命にかかわるような健康状態のことで、重態には負傷が含まれないなど。
しかし、重体と重態は同じ意味であり、上記のような使い分け方はしていない。
重体と重態の違いを挙げるとすれば、新聞などの報道では「重体」に統一されており、一般にも「重態」より「重体」の表記の方が多く使われていることぐらいである。
健康志向の高まりから、低カロリーであることをうたった食品や飲料製品が多く出回っているが、その強調表示は「カロリーゼロ」「カロリーオフ」「ノンカロリー」「ローカロリー」「カロリー控えめ」などがある。
これらの言葉は、健康増進法第31条に基づく「栄養表示基準制度」で定められた基準よりも下回っていなければ表示することはできない。
カロリーゼロ(ゼロカロリー)は、食品100グラム当たり、飲料100ミリリットル当たりで、5キロカロリー未満であることを表す。
「ゼロ」といっても、カロリーがまったく無いというわけではなく、0~5キロカロリー未満をいうのである。
同じ条件であれば、「ノン」「レス」「無」などで表してもよく、「カロリーゼロ」も「ノンカロリー」も同じ意味になる。
カロリーオフは、食品100グラム当たり40キロカロリー未満、飲料100ミリリットル当たりで20キロカロリー未満であることを表す。
同じ条件であれば、「ロー」「低」「控えめ」「ライト」「ダイエット」などで表してもよく、「カロリーオフ」も「ローカロリー」も「カロリー控えめ」も同じ意味である。
ちなみに、「カロリー〇〇%カット」という表記は、食品100グラム当たり40キロカロリー以上、飲料100ミリリットル当たり20キロカロリー以上減少していなければならないことになっている。
菌から身を守ることに関する言葉は、「抗菌」「除菌」「殺菌」「滅菌」「消毒」など多く、それぞれ意味に違いがあり、中には薬事法によって決められた製品にしか使えない言葉もある。
抗菌とは、細菌の繁殖を抑制することで、細菌のみを対象とするため、カビ・黒ずみ・ぬめりなどは対象外である。
菌の付着防止や、菌を殺したり減少させるわけではなく、あくまでも抑制するのみで、抑制の程度についても決まりはない。
抗菌加工された製品には、日用品、家電製品、住宅建材、ペット用品などがある。
除菌とは、細菌を取り除いて減らすことで、菌を殺すわけではない。
手洗いや食器を洗うことも除菌で、物理的に菌を排除するものである。
除菌製品には、洗剤・漂白剤・スプレー・ウェットティッシュなどあるが、除菌の程度に関する決まりはない。
殺菌とは、細菌などの微生物を死滅させることで、特に病原性や有害性のある糸状菌・細菌・ウイルスなど死滅させることをいうが、どの菌をどの程度殺すことをいうのか明確な定義はない。
「殺菌」という言葉は、薬事法によって、消毒液などの医薬品、薬用せっけんなどの医薬部外品にしか使えず、洗剤などの日用品には使えない。
滅菌とは、熱・薬品・放射線などで細菌を死滅させ、無菌状態を作り出すこと。
殺菌と滅菌は似ているようだが、滅菌の「滅」は「全滅」を表しており、微生物の生存する確率が100万分の1以下になることをいう。
無菌状態にするためには、人間の細胞も殺してしまうことになるため、滅菌スプレーといった一般製品はない。
消毒とは、広義には人体に有害な物質を除去したり、無害化させること。
狭義には、病原性のある微生物を死滅させたり、病原微生物の能力を減退させ、病原性をなくすことをいう。
殺菌や滅菌と似ているが、殺菌せずに病原性をなくす方法もあるため、消毒と殺菌は同じではない。
消毒は滅菌のように全ての細菌を死滅させるわけでなく、病原微生物をなくしたり、能力を減退させるものなので、消毒と滅菌も同じではない。
消毒には、焼却・煮沸・日光・紫外線・蒸気・薬物などによる方法がある。
市販薬は、医師の処方箋をなくても、薬局やドラックストアで購入できる薬のこと。
正式には「一般用医薬品」といい、「家庭用医薬品」や「大衆薬」「一般薬」とも呼ばれる。
処方薬は、医師の処方箋に従って、薬剤師によって調合される薬のこと。
正式には「医療用医薬品」という。
市販薬は、第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品に分類され、第一類は薬剤師、第二類と第三類は薬剤師か登録販売者の対応が必要ではあるが、薬の選択や使用は基本的に購入者の判断で行われる。
処方薬は、医師に処方してもらい、病院の薬局や院外の調剤薬局で調合されたもので、購入者の判断で選択できず、使用に関しては、医師や薬剤師の指導・助言に従う必要がある。
市販薬は、多くの人が使用することを考慮し、薬効成分の含有量が少なめに抑えられているため、副作用は比較的少ないが、効き目も比較的弱い。
また、一般的な症状を幅広くカバーできるよう、さまざまな成分が含まれているため、不要な薬効成分まで服用するデメリットがある。
処方薬は、症状のほか年齢や体型などに合わせて必要な薬効成分の含有量が決められるため、効き目は比較的強いが、含有量が多い分、副作用の危険もあるため注意が必要である。
病人の世話をするという意味では、看病・看護・介護ともに使われるが、病人以外の世話をする場合や、医療業務として世話をする場合、長期短期といった違いで、使い分けが必要となる。
看病は、病人に付き添って世話をすることで、そばに居るというニュアンスを含む。
一時的な症状の場合には使わず、重い症状であったり、病気が長期となる場合に使うことが多い。
また、看病は病気の人を世話することなので、けが人の手当てには使わない。
看護は、けが人の手当てや病人の世話をすることで、看病よりも意味が広く、症状が軽い場合にも重い場合にも使われる。
看護は医療業務として世話をすることにも使われることや、看病には付き添うという意味が含まれることから、身内などの医療者以外の人が世話をする場合には、「看護」よりも「看病」の方が、比較的使われやすい傾向にある。
介抱は、傷病者などの世話をすることだが、一時的に行う世話や手当てに使う。
「父の介抱を一年間した」ということはあり得ず、このような長期の場合には「看病」か「看護」を使う。
また、介抱は一時的に行うものであり、「助ける」「保護する」といった意味もあるため、けが人や病人のほかに、突然倒れた人や酔っぱらいなどの世話にも、「介抱」は使われる。
薬の効果が現れる」と「薬の効能が現れる」のように、「効き目」という意味では効果と効能のどちらも使うが、「効き目」の何に重点が置かれるかによって、使い分けが必要となることもある。
効果とは、ある行為や作用によって得られる、望ましい結果のこと。
効能とは、ある結果をもたらす働きのこと。
効果は「結果」に重点が置かれた言葉で、効能は「働き」に重点が置かれた言葉である。
便秘薬を例に「効果が期待できる」と「効能が期待できる」の違いをいうならば、効果で期待できるのは、「便秘が治る」という結果。
効能で期待できるのは、「便を柔らかくする」「腸の動きを活発にする」といった働きである。
便秘の原因が別のところにあれば、このような効能の薬を使用しても結果は便秘のままなので、「効能はあったが効果はなかった」ということもある。
さらに、便秘を治す目的がダイエットであった場合、望んでいる結果は痩せることなので、便秘が治ることは「効能」、痩せることが「効果」となる。
また、効果は「経済効果」や「ドップラー効果」など、「影響」「現象」といった意味でも使われ、対象範囲が広い。
一方の効能は、物質の作用がもたらす働きについていうことが多いため、薬・サプリメント・温泉などの医療・健康に関することに使われ、効果のように対象範囲は広くない。
「何度注意しても効果がない」という場合は、影響・結果に重点が置かれており、働きかけている「注意」も薬などの物質ではないため、「効果」を「効能」に置き換えて、「何度注意しても効能がない」とは使えない。
その他、効果は「音響効果」や「舞台効果」のように、映画や演劇などで、場面にふさわしい情趣を作る意味でも使われる。
ヨガ(ヨーガ)とピラティスは似たものと思われがちだが、ヨガとピラティスでは、成り立ちや技法、使用する道具など、多くの違いがある。
ヨガは元々、古代インドに伝わる宗教的な修行法で、心身を鍛錬し、精神を統一して悟りを開くことを目的としたもので、精神面に重点が置かれる。
一方のピラティスは、第一次世界大戦の時、ドイツ人の従軍看護師ジョセフ・ピラティスが考案したリハビリ用のエクササイズから発展したもので、肉体面(インナーマッスル)に重点が置かれる。
ヨガとピラティスの技法で最も異なる点は、呼吸法。
ヨガはお腹を膨らませたりへこませたりして息をする腹式呼吸で、副交感神経が優位になるため、筋肉をやわらげ、リラックスすることができる。
ピラティスは胸を膨らませたりしぼめたりして息をする胸式呼吸で、交感神経が優位になるため、興奮した状態となり、筋肉の動きを活発にすることができる。
ヨガとピラティスのポーズは似ているものも多いが、ヨガは静止が基本で瞑想があるのに対し、ピラティスに瞑想はなく、ゆっくりとした動きではあるが一連の流れに沿って体を動かす。
ヨガで使用する道具は、ヨガマットとヨガブロックぐらいであるが、ピラティスはマットやブロックに加え、バランスボール(エクササイズボール)、セラバンド(エクササイズバンド)、フォームローラー(ストレッチポール)、フィットネスサークル(レジスタンスサークル)など、使用する道具の種類が多い。
また、ピラティスにはヨガのようにマットの上で行う「マットピラティス」のほかに、ジョセフ・ピラティスが開発したピラティス専用器具を使用する「マシンピラティス」がある。
心療内科は、主に心身症を扱う内科。
心身症とは、精神的・心理的要因が原因で、胃潰瘍や頭痛、下痢や嘔吐など、身体に様々な症状が現れる身体疾患の総称。
心療内科では、身体的な治療と並行して、病気の原因となる心のケアも行う場合が多い。
精神科は、精神障害・精神疾患・依存症・睡眠障害など、心の病気を扱う科。
身体的に異常がなくても、不安・抑うつ・不眠・イライラ・幻覚・幻聴・妄想など、精神的に問題があれば病気として認知される。
精神科では、投薬治療が行われることが多い。
身体疾患を伴う心の病は心療内科、身体疾患を伴わない心の病は精神科を選ぶと良いが、現状としては、心療内科医が精神疾患を、精神科医が心身症を診るケースは多く、互いの専門分野に詳しくなっているため、どちらに行くべきか迷う必要は特にない。
また、心身症だからと精神科に行くつもりはないと思っていても、実際は精神科に行っていることもある。
それは、「精神科」というと患者が入りにくいことから、実際は「精神科」なのに「心療内科」の看板を掲げている開業医が多くあるためである。
標榜科が「内科・心療内科」となっていれば、心療内科の専門医か、心療内科も学んだ内科医の可能性が高く、「神経科・心療内科」となっていれば、精神科医である可能性は高いが、必ずしもそうであるとは限らない。
また、「精神科・心療内科」と掲げているところもあり、看板を見ただけで、どちらの専門かハッキリ分かることはない。
どうしても専門医に診てもらいたいのであれば、事前に確認をしてから行ったほうがよいであろう。
産科とは、妊娠・出産・産後など、出産に関することを扱う医療機関。
婦人科とは、女性生殖器の腫瘍性疾患、性感染症、更年期障害、不妊、生理不順などの内分泌疾患を扱う医療機関。
産婦人科とは、産科と婦人科の範囲を診療する医療機関。
基本的に、産科は婦人病などの診療を行っておらず、婦人科は妊娠に関する診察は行っていないことが多い。
産科と婦人科を兼ね備えた産婦人科であれば、婦人病の診療も受けられ、出産もできると思われがちだが、そうとは限らない。
近年は、妊婦検診や不妊治療には対応しているが、設備が不十分であったり、人材不足などにより、分娩に対応できない産婦人科が増えている。
そのような産婦人科で妊娠の診察を受けた場合は、別の分娩可能な医療機関で入院・出産することになる。
薬事法では、薬や化粧品を「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3種類に分類・定義している。
医薬品は、厚生労働省によって配合されている有効成分の効能・効果が認められており、病気や怪我の治療、予防を目的としたもので、いわゆる「薬」のこと。
医薬品には、医師の指示で処方される「医療用医薬品」と、薬局・薬店などで販売される「一般用医薬品」がある。
医薬部外品は、医薬品に準ずるもののこと。
厚生労働省によって効能・効果が認められた有効成分が一定の濃度で配合されているが、効き目は緩やかで、医薬品のように必ず効果が現れるというものではなく、効果が期待できるレベルのものが医薬部外品である。
病気や怪我の治療というより、予防や衛生を主な目的としている。
医薬部外品は医薬品のような副作用のリスクを伴わないため、コンビニやスーパーなどの一般小売店でも販売が可能である。
「薬用」や「薬用化粧品」と書かれた「栄養ドリンク」「育毛剤」「薬用シャンプー」「薬用歯磨き」などは、化粧品ではなく医薬部外品に含まれる。
化粧品は、身体を清潔する、美化する、魅力を増す、健やかに保つといった目的のもののこと。
医薬部外品よりも、さらに効果・効能は緩やかになる。
以前は個々の商品について、厚生労働大臣の許認可が必要であったが、2001年の規制緩和によって、メーカーの判断で自由に開発できるようになった。
ただし、含有できない成分は厳しく定められており、医薬部外品では認められている効果・効能の表現もできない。
また、全使用成分の表示も義務付けられるようになった。
口紅やファンデーションといった、いわゆる「化粧品」のほか、「スキンケア用品」「石鹸」「シャンプー」「リンス」「歯磨き」なども化粧品に含まれる。
形成外科」を以前は「成形外科」と呼んでいたり、「美容外科」を「美容整形外科」や「整形美容外科」などと呼ぶため、整形外科と形成外科と美容外科は混同されることもあるが、整形外科と形成外科と美容外科では扱う対象が異なる。
整形外科とは、骨・関節・筋肉・じん帯・脊髄などの運動器系に関わる先天的・後天的な機能障害や形状変化を扱う分野。
骨折や脱臼、捻挫、椎間板ヘルニアや関節リウマチ、骨粗しょう症などの治療・予防・矯正を行うのが「整形外科」である。
形成外科とは、皮膚から人体の浅い表面部分の先天的・後天的な形態異常を扱う分野。
火傷や傷跡などで皮膚移植をしたり、ケロイド、顔面骨折など治療を行うのが「形成外科」である。
美容外科とは、容姿・容貌を美しくするための手術などを行う科。
「美容整形」や「整形美容」などとも呼ばれるが、形成外科の一分野であるため、整形外科の治療対象とは大きく異なり、看板に「形成美容外科」や「美容形成外科」と書かれていることも多い。
美容外科は、疾患を伴うものではなく、美容を主な目的としているため、多くの場合は健康保険が適用されず、全額自己負担の自由診療となる。
美容外科では、目・鼻・口などの形状や、顔の輪郭を変えたり、豊胸・脂肪吸引・しわ取り・脱毛・わきがの治療などを行うが、もっとも多い希望は、一重まぶたを二重まぶたにする「眼瞼形成術」などの目の美容形成といわれる。
毒薬と劇薬には「薬」の字が入っているように「医薬品」で、薬事法によって厚生労働大臣が指定する薬。
毒物と劇物には「物」の字が入っているように「薬」ではなく「毒性のある物質」で、狭義には、医薬品・医薬部外品以外の物質で、毒物および劇物取締法で規定されるものを指す。
劇薬よりも毒薬、劇物よりも毒物の方が、生命に危険を起こす可能性が高く、経口投与(内服)の致死量が、劇薬では体重1kgあたり300mg以下なのに対し、毒薬では30mg以下。
皮下注射では、劇薬が200mg以下、毒薬が20mg以下。
静脈注射では、劇薬が100mg以下、毒薬が10mg以下と、およそ10倍ほどの差がある。
毒薬と劇薬は「薬事法」、毒物と劇物は「毒物および劇物取締法」によって、容器やパッケージへの表示、保管や販売方法が以下のとおり定められている。
容器やパッケージへの表示の違い。
毒薬には、黒地に白枠、白文字で、品名と「毒」を表示。
劇薬には、白地に赤枠、赤文字で、品名と「劇」を表示。
毒物には、「医薬用外」の表示と、赤地に白文字で「毒物」と表示。
劇物には、「医薬用外」の表示と、白地に赤文字で「劇物」と表示。
また、毒物と劇物には、名称、成分と含有量、厚生労働省で定める毒物や劇物については解毒剤の名称、取扱上や使用上特に必要と認めて厚生労働省令で定める事項が記載されていないと、販売することができない。
保管方法の違い。
毒薬は、他の薬品と区別して、専用の施錠できる保管庫に貯蔵・陳列。
劇薬は、保管庫の施錠は必要ないが、他の薬品と区別して貯蔵・陳列。
毒物と劇物は、他のものと区別し、施錠できる設備に貯蔵することと、保管庫を壁などに固定し転倒を防ぐ必要がある。
販売方法の違い。
毒薬と劇薬は、14歳未満の者、安全な取り扱いに不安を認める者への販売・交付は禁じられている。
ただし、医師などの処方箋によって調剤された医薬品は、14歳未満でも販売・交付は可能である。
薬局が一般の人へ毒薬や劇薬を販売・交付する際は、年月日・品名・数量・使用目的・購入する人の住所・氏名・職業の記入と、購入する人の署名もしくは記名押印された書類を提出してもらい、販売日から2年間、その書類を保管しなければならない。
毒物と劇物は、18歳未満の者、麻薬・大麻・あへんまたは覚せい剤中毒者、心身障害により適正な危害防止措置を行うことができない者への販売は禁じられている。
薬局などの販売業者が一般の人へ毒物や劇物を販売する際は、名称と数量・年月日・氏名・職業・住所を記載し、押印した書面を提出してもらい、最終記載日から5年間保存しなければならない。
幻覚は、対象となるものが実際はないのに、あるように知覚すること。
多くの場合、「幻覚が見える」などと、実際にないものが見える「幻視」のことをいうが、幻覚は視覚によるものだけでなく、感覚器官に感じる全てに対応する幻覚があり、「幻聴」「幻視」「幻触」「幻臭(幻嗅)」「幻味」「体感幻覚」などに分けられる。
幻覚は、麻薬やアルコール、精神障害などが原因となって起こるが、正常であっても、夜間に高速道路を運転し続けるなど、感覚刺激を遮断した状態が続いた場合には、幻覚が起こることもある。
錯覚は、対象となるものに対し、客観的事実と違った知覚をすること。
多くの場合、形・大きさ・長さ・色・方向などが違った見え方をする「錯視」、いわゆる「目の錯覚」をいうが、幻視が幻覚の一種であるように、錯覚にも「錯聴」「錯視」「錯触」などの種類がある。
また、錯覚は思い違いや勘違いの意味でも用いる。
誤認は、違うものをそうだと思って認めることや、見間違えること。
真犯人でない人を誤って逮捕する「誤認逮捕」や、見ず知らずの人に声を掛けた理由が、知人と似ていたからという場合が「誤認」である。
幻覚と錯覚と誤認の違いは、感覚器官が正常であるか否か、知覚する対象の有無、得た情報の整理で分けられる。
幻覚は、感覚器官に異常があり、知覚する対象が実在しない場合に起こるもの。
錯覚は、感覚器官が正常であるにも関わらず、実際とは異なる情報として感覚を得るもの。
誤認は、感覚器官も正常で、得た情報も確かであるが、思い込みや勘違いによって、得た情報の整理が不十分となり起こるものである。
重症は、病気や症状が重いことで、対義語は「軽症」。
重傷は、傷の程度が重いことで、対義語は「軽傷」である。
拳銃で撃たれた場合は、「重症を負う」ではなく「重傷を負う」。
なんらかの症状が重くなった場合は、「重傷になる」ではなく「重症になる」。
比喩的に用いる場合、恋わずらいであれば「相当な重症だ」。
精神的なダメージの大きさを表現するのであれば、意味としては「重症」ではなく「重傷」になるが、「重傷」よりも「痛手」が用いられる。
このように一般には、重症が「病気」で、重傷が「傷」として使われるため、誤解されていることもあるが、重症は「症状」なので病気に限らず、ケガの状態も含めていう。
しかし、重症のうち傷のみを表す場合に、「重傷」が使われるという訳でもない。
消防が救急搬送するのは病人とケガ人で、事故によるケガであっても、消防では「重症」を用いる。
警察は事故でケガ人の状態を見るが、病気を診ることはないので、警察では「重傷」を用いる。
マスコミの事故報道で「全治3カ月の重傷」と言われているのは、警察の発表に基づいたものである。
重症と重傷では、治療に必要とする日数にも違いがあり、重症は消防の定義、重傷は警察が定義している。
消防庁による重症の定義は、傷病の程度が3週間以上の入院を必要とするもの。
入院を必要とするが、重症に至らないものを「中等症」。
入院加療を必要としないものは「軽症」という。
警察による重傷の定義は、命に別状はないが、全治30日以上必要とする深い傷や重いケガのこと。
全治30日未満のケガは「軽傷」という。
未熟児は、早産などで身体機能の発育が未熟のまま出生した子のこと。
一般には、体重が2,500グラム未満の子をいい、1,500グラム未満は「極小未熟児」、1,000グラム未満は「超未熟児」ともいう。
出生時の体重が2,500グラム未満であっても、身体機能に問題がなかったり、2,500グラム以上でも身体機能の発育が未熟なことがある。
そのため、現在は正式な医学用語として「未熟児」は用いられず、医学用語の「低出生体重児」と「早産児」を組み合わせて用いられる。
低出生体重児は、一般にいう「未熟児」のことで、体重が出生時の体重が2,500グラム未満の新生児のこと。
「極小未熟児」に相当する1,500グラム未満の子は「極低出生体重児」、「超未熟児」に相当する1,000グラム未満の子は「超低出生体重児」という。
母子保健法では、「低出生体重児」を「低体重児」と呼び、低体重児が出生した時には、その保護者は速やかに、都道府県等へ届け出ることが義務付けられている。
早産児は、在胎週数による分類で、通常よりも早く生まれた新生児のこと。早生児ともいう。
通常の在胎週数は37週から42週未満で、この間に生まれた新生児は「正期産児」、22週から36週の間に生まれた子が「早産児」、在胎42週以上で生まれた子は「過期産児」という。
早産児は、母親の胎内にいる期間が短い分、低体重や身体機能が未発達といった、いわゆる未熟児(低出生体重児)であることが多い。
風邪は、鼻やのど、気管支など、呼吸器系の粘膜に炎症を起こす症状の総称。
主に、ウイルスの感染によって起こる。
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染して起こる病気で、風邪の一種であるが、普通の風邪(以下、風邪)よりも症状が重く、命にかかわる病気であるため、風邪と区別される。
風邪とインフルエンザは、原因ウイルス・発症時期・症状など、下記のような違いがある。
風邪の原因ウイルスには、ライノウイルス・コロナウイルス・アデノウイルスなど、多くの種類がある。
インフルエンザの原因ウイルスは、インフルエンザウイルスのA型・B型である。
C型インフルエンザウイルスもあるが、普通はA型・B型の中でヒトに感染するものを指し、予防接種のインフルエンザワクチンもA型・B型を対象としている。
風邪は一年を通じてみられる症状だが、インフルエンザは冬季に流行する。
日本では11~12月に流行が始まり、1~3月がインフルエンザのピークとなる。
風邪の主な症状は、のどの痛みや咳、鼻水、鼻づまりなど呼吸器症状が多く、腰痛や関節痛、筋肉痛など全身の疼痛はほとんど無い。
発熱も無い場合があり、あっても通常は37~38度程度の微熱である。
インフルエンザの主な症状は、全身倦怠感や食欲不振などの全身症状が強く現れることで、腰痛や関節痛、筋肉痛など全身の疼痛も強く感じられる。
突然、38度以上の高熱になり、やや遅れて、のどの痛みや咳、鼻水、鼻づまりなどの呼吸器症状が現れる。
症状に違いはあるものの、実際のところは、風邪とインフルエンザを症状だけで鑑別することは難しいため、風邪やインフルエンザにかかったと思ったら、早めに医師に診てもらい、適切な治療を受けたほうがよい。
HIVは、「Human Immunodeficiency Virus」の略で、ヒト免疫不全ウイルスというウイルスの名前。
エイズ(AIDS)は、「Acquired Immune Deficiency Syndrome」の略で、後天性免疫不全症候群という病気の名前。
「HIV感染者=エイズ患者」ではなく、HIVに感染した時点では「HIV感染者」、HIVの感染により免疫が機能しなくなり発症して「エイズ患者」となる。
エイズ指標疾患として、ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫、悪性リンパ種、悪性腫瘍など23種類が指定されており、このうち1つ以上に当てはまると「エイズの発症」と診断される。
HIVは、通常の環境下では非常に弱く、普通の社会生活では感染の可能性は極めて低いウイルスで、感染源となりうるウイルス濃度が高い体液は、血液・精液・膣分泌液・母乳などである。
主な感染経路は、性交による「性的感染」、輸血や傷・麻薬のまわし打ちなどによる「血液感染」、出産・授乳などによる「母子感染」に限られている。
現代の医学では、HIVに感染して完治することは不可能であるが、抗HIV薬などの治療を続けることで、エイズの発症を抑えたり、感染予防にも繋がる。
エイズ発症前と発症後からの治療では、免疫力に差が出ることが多いため、早期発見・早期治療が望ましい。
母体は、産前から産後までを含めた母親の体のこと。
「母体の健康」や「母体の安全」という時の「母体」に、赤ちゃん(胎児)は含まれていない。
母胎は、赤ちゃんがいる母親の胎内のこと。
母体は肉眼で見ることが出来るが、普通、母胎は肉眼で見られず、超音波写真(エコー写真)などで見る。
母体と母胎は、基盤となるものの比喩としても使われるが、元の意味に違いがあるように、使われる意味にも微妙な違いがある。
母体は、「運営母体」や「選挙母体」など、分かれ出た元となるもの、発展の元となるものをいう。
母胎は、「発明の母胎」「技術の母胎」など、物事を生み出す基盤となるものの意味で使われる。
心肺停止とは、心臓も呼吸(肺の動き)も停止した状態。心音と呼吸の有無の確認でわかるため、誰でも心肺停止の判断は可能である。
心肺停止状態であっても、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)、人工呼吸などで蘇生する可能性があるため、死亡状態とはいえない。
ただし、心臓が停止し脳に血液が行かなくなると、4~5分程度で脳は回復不可能な障害を受けるため、心肺停止状態になったら迅速な救命措置が必要となる。
日本では、心肺停止(心停止と呼吸停止)のほかに、脈拍停止と瞳孔散大の4つを確認し、医師が死亡を宣言しなければ「死亡」とはならず、医師以外の者が死亡を宣言することはできない。
事故や災害などで、明らかに死亡している人が発見された場合であっても、警察や消防では死亡の宣言ができない。
ニュースで伝えられる「心肺停止の状態」は、死亡しているだろうけれども、まだ医師の診断ができていない状態というのがほとんどである。
海外では、日本と同じ手順で死亡が確定するとは限らない。
そのため、日本のメディアが「心肺停止」と伝える状態を、海外のメディアでは「死亡」と伝えられていることも多い。
日射病は、強い直射日光に長時間当たることで発生する病気。
大量の汗をかいて脱水症状となり、体温調節中枢の機能が低下し、倦怠、悪心、頭痛、めまい、意識障害、けいれんなどの症状がでる。
熱射病は、屋内・屋外を問わず、高温多湿な環境下に長時間いたり、作業をした時に起こる病気。
体温調節機能が破綻することで、倦怠、頭痛、めまい、意識障害を伴う。
汗が出ず、40度以上の高体温となって、生命にかかわることもある。
熱中症は、高温や多湿の環境下で起こる身体の障害の総称。
症状としては、発汗による脱水と、血管の拡張で血圧が下がり、めまい、失神などを起こす「熱失神」。
大量の発汗により、塩分やミネラルが不足し、筋肉のけいれんを起こす「熱けいれん」。
多量の発汗に水分や塩分の補給が追いつかず、脱水症状となった時に発生する「熱疲労」。
体温調節機能が失われることによって起こる「熱射病」がある。
熱中症の重症度分類では、熱けいれんや熱失神が「軽症」、熱疲労は「中等症」、熱射病は「重症」にあたる。
つまり、熱射病も熱中症の一種。
日射病も熱射病や熱中症の一種で、症状や症状の原因となる身体の変化よりも、身体に変化を起こした原因が、直射日光であることに重点を置いたのが「日射病」である。
日射病の予防には、帽子を被ったり首にタオルを巻くなど、直射日光に当たらないようにすることである。
熱中症(熱射病)の予防には、こまめに水分補給することが挙げられるが、水分だけを補給し、塩分やミネラルが不足した状態では熱中症になるため、塩分を含んだ飴を舐めたり、スポーツドリンクなどを飲むことが必要である。
検診は、病気であるか否かを調べるために行う検査・診察のこと。
「がん検診」や「歯科検診」など、特定の病気を早期発見し、早期に治療することを目的としている。
健診は、「健康診断」もしくは「健康診査」の略で、健康であるか否かを調べるために行う診断、乳幼児の発育状況などの調査のこと。
検診も健診も病気の有無を調べるものだが、健診は、病気がないことを前提に、身体の状態を総合的に調べるもので、特定の病気の有無を調べるものではない。
健診の結果、身体に何らかの障害が起こっていることが確認されれば、病気の発見には繋がる。
皮膚のみの比較的小さな損傷を「傷」と言い、骨や筋肉に達する比較的大きな損傷を「怪我」と言うなど、傷と怪我の違いは損傷部分の大きさと言われることもあるが、傷と怪我にそのような区別はない。
傷は、皮膚や肉が切れたり破れたりすること。その部分をいう。
また、皮膚や肉に限らず、精神的な痛手、物の表面の裂け目や欠けた部分、欠点、不名誉の意味でも用いられる。
怪我は、傷を負うこと。その傷を意味する。
体の損傷という意味では、傷も怪我も大きな違いがないように思えるが、語源から考えると違いがわかる。
傷は「切る」「刻む」などから転じたと考えられており、負傷することや、負傷した箇所を直接的に表した言葉である。
怪我は「穢る(けがる)」「穢れる(けがれる)」の語幹からと考えられ、「過失」「思わぬ事態」「不測の結果」が本来の意味。
そこから、「過って傷を負うこと」「思いがけず傷つくこと」を意味するようになったもので、傷を負う過程を含んでいるのが「怪我」である。
「傷口」や「傷跡」など、損傷した箇所を表す際は「傷」が多く使われ、「怪我をする」など、傷を負うことを表す際に「怪我」が多く使われるのも、傷が直接的な表現で、怪我が傷を負うまでの過程を含んでいるためである。
怪我から「過って」「思わず」の意味が薄れ、「傷」と同じ意味で使われるようになったため、勘違いされていることもあるが、「怪我の功名」や「下手に手を出と怪我をする」などと言う時の「怪我」は、「傷」ではなく「過ち」や「不測の結果」という意味からである。
薬局は、薬剤師が常駐し、薬を調剤する調剤室が併設されている。
薬局では、医師の処方箋に基づいて薬を調剤する医療用薬品と、一般用医薬品(市販薬)のどちらも取り扱うことができる。
薬店は、一般用医薬品は取り扱えるが、薬剤師の常駐や調剤室がなく、医療用薬品を扱うことはできない。
一般用医薬品は、リスクが高いものから順に第一類・第二類・第三類医薬品に分類される。
第一類医薬品を扱う薬店では、薬剤師か業務三年以上の登録販売者を、第二類・第三類医薬品店舗管理者のみを扱う薬店では、薬剤師か登録販売者を店舗管理者として置かなければならない。
また、購入者への対応は、第二類・第三類医薬品は薬剤師か登録販売者でよいが、第一類医薬品の販売には薬剤師が対応しなければならない。
ドラッグストアは、一般用医薬品のほか日用品なども扱うところというイメージが強いが、薬店を英語にしただけで、基本的には薬店と変わらない。
ただし、薬剤師が常駐し、調剤室を併設したドラッグストアも増えてきており、必ずしもドラッグストアが薬店であるとは限らず、薬局として医療用薬品も取り扱える店舗の場合もある。
ニュースでよく耳にする「重体」「重傷」「軽傷」は、治療を要する日数や症状の重さによる違いがある。
重傷は、命に別状はないが深い傷や重いケガをした場合で、全治30日以上要するものを指す。
軽傷は軽微で、全治30日未満のケガを指す。
「全治2カ月の重傷」はあっても、「全治2カ月の軽傷」はない。
「意識不明の重体」と言うように、重体は脳や内臓などに大きな損傷があるなど、重傷の中でも生死にかかわる場合に用いられる。
重体は生命の危機にあるため、「全治〇カ月の重体」とは言わない。
重傷ほどの治療期間は要しないが、軽傷と言えるほど軽くもない、重傷と軽傷の中間のケガは「中傷」という。
ただし、中傷は軽傷よりやや重い程度の症状なので、特に区別する必要ないことや、「誹謗中傷」と言うように、中傷は他人の名誉を傷つける意味の言葉であることから、ほとんどの場合は「中傷」を「軽傷」と呼んでいる。
タールもニコチンもタバコに含まれる有害物質であるが、その性質は異なる。
タールはタバコを吸った時にフィルターや歯を茶色くする粘着性のもので、いわゆる「ヤニ」のこと。
タールには、数百種類の発がん性物質が含まれており、タバコを吸い続けているとガンのリスクが高まるといわれる。
ニコチンには発がん性物質が含まれていないが、神経系に対する毒性が非常に強い猛毒で、中枢神経興奮・抑制作用・血管収縮・心拍数増加などを引き起こす作用があり、心拍数や血圧の上昇、動脈硬化のリスクが高まる。
「ニコチン中毒」と言うようにニコチンは依存性物質で、タバコがやめられない主な原因はニコチンによるものである。
タバコに含まれ、体に悪影響を及ぼす物質には、タールやニコチンの他に「一酸化炭素」もある。
血液中の酸素はヘモグロビンと結びついて全身に運ばれるが、一酸化炭素は酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンと結び付きやすい性質を持っているため、一酸化炭素があると酸素がヘモグロビンと結びつくことができず、全身に酸素が行き渡らなくなってしまう。
そのため、喫煙者は慢性的な酸素欠乏状態となり、赤血球が増えて動脈硬化のリスクが高まるといわれる。
医療法で医療機関は、病院と診療所に分けられる。
医院やクリニックは、医療機関の施設に付けられる呼称(屋号)で、医療法で特に規制されていないため、「病院」「診療所」のどちらでも使用可能であるが、一般に「医院」や「クリニック」が付いているところは診療所であることが多く、診療所と医院とクリニックは同じと考えてよい。
医療法で、病床数20床以上の入院施設をもつものを「病院」、無床もしくは病床数19床以下の入院施設をもつものを「診療所」という。
病院には医師・看護師・薬剤師などの最低配置人数に規制があるが、診療所には医師1名のほかに人数の規制はされていない。
建築基準法により、病院は第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・工業地域・工業専用地域に設置できないが、診療所は条例等で特別の定めがない限り、用途地域の別に関わらず設置が可能である。
習字と書道の共通点は、毛筆を使って美しい文字を書くことである。
しかし、この二つは全くの別物で、「美しい文字」の意味にも違いがある。
習字とは、文字を習うこと。文字を美しく正確に書くための練習のこと。
書道とは、毛筆によって文字の美しさを表現する芸術のことをいう。
教科で分けるとすれば、習字は「国語」、書道は「美術」である。
習字でいう「美しい文字」は、お手本通りに正しく整えて書くことであるが、書道でいう「美しい文字」は芸術性のある美しさであり、個性を出して自己表現することが必要となる。
習字には、鉛筆やボールペンで文字を書く「ペン習字」というものもある。
ペン習字は毛筆で文字を書く「習字」に対していう言葉なので、単に「習字」といった場合は毛筆を使って文字を書くことを指す。
ペン習字も「習字」の一種であり、読みやすい美しい文字を書くことが目的であるため、書道のように芸術性のある文字を書くものではない。
学校で行われるスポーツ行事は「運動会」や「体育祭」と呼ぶが、幼稚園・小学校が「運動会」、中学校・高校では「体育祭」と呼ぶところが多い。
このように呼び分けられているのは、運動会は運動競技や遊戯を楽しむものだが、体育祭は授業の成果や練習の成果を発揮するものといった目的の違いにあると考えられる。
保育園・地域・職場など、学校教育以外の場でも「運動会」と呼ばれるのは、体を動かすことが主たる目的で、成果を発揮するものではないためである。
また、運動会の運営は先生が中心となるが、体育祭は生徒が中心となって行事の運営をする。運動会には保護者が参加する競技があるが、体育祭には保護者の参加がないといった違いもある。
このような運営主体、保護者の参加有無なども、成果を発揮する行事かという点に通じるものである。
その他、運動会では「かけっこ」、体育祭では「短距離走」と呼び分けるといった違いや、運動会は紅白に分かれるが、体育祭ではクラスで分かれることを挙げられることもあるが、運動会でも「短距離走」と呼んだり、体育祭でも紅白に分かれるところもあり、共通の違いとはいえない。
専修学校は、小中高校・大学・高等専門学校(高専)・盲学校・聾学校・養護学校・幼稚園など、学校教育法第一条に規定される学校以外の教育施設で、修業年限が1年以上、昼間課程の年間授業時間が800時間以上、夜間課程の年間授業時間が450時間以上、常時40名以上の生徒を収容しているなど、一定の基準を満たし、所轄庁である都道府県知事の認可を受けた教育施設。
専修学校の課程は、中学校(準ずる学校を含む)を卒業した者を対象とする高等課程、高等学校(準ずる学校を含む)を卒業した者を対象とする専門課程、その他の一般課程に分類され、専門課程を置く専修学校が「専門学校」である。
各種学校は、上記専修学校の基準は満たさないが、学校教育に類する教育を行う施設で、認可を受けたもの。
各種学校には、自動車教習所、洋裁学校、理容学校、美容学校、料理学校、珠算学校、予備校などがある。
ただし、一部の大学受験予備校(河合塾や駿台予備学校など)は、専修学校の一般課程として認可を受けている。
大学は、文部科学省が管轄する学術研究および教育の最高機関で、学校教育法に基づいて設置される。
学部の修業年限は、原則として4年だが、2年・3年の短期大学や、医学部医学科や薬学部薬学科など6年制課程の学科もあり、教育課程に応じて、短期大学士・学士・修士・博士・専門職学位などの学位授与を行う。
一般には、短期大学や大学院と区別され、卒業時に学士の学位が授与される課程を指して「大学」という。
大学校は、文部科学省が管轄する機関ではなく、学校教育法に基づいた大学とは異なる施設で、教育訓練施設などの名称として用いられる。
「大学」という名称の使用は学校教育法で規定されているが、「大学校」には規定する法律がなく、どのような施設でも「大学校」と名乗ることができる。
そのため、さまざまな大学校が存在するが、大学と比較していう際の「大学校」は、省庁などの行政機関が、幹部養成や専門の技術・知識の研修のために設置した施設を指す。
大学校は大学ではないため、基本的に学位の授与はないが、防衛省の防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安庁の海上保安大学校、気象庁の気象大学校など、その課程が大学の学士課程や大学院の修士課程・博士課程などと同水準であることが、文部科学省管轄の独立行政法人大学評価・学位授与機構に認定された大学校であれば、学位の取得も可能である。
学位が授与されない大学校でも、修業年限や教育内容も大学とほぼ同じで、大学卒業者と同様の資格・受験資格が与えられる大学校もある。
また、防衛大学校、防衛医科大学校など国が設置する一部の大学校は、入学者の身分が「学生」ではなく「国家公務員」となるため、学費が無料になるだけでなく、給料も支給される。
セミナーは、少人数を対象に、特定のテーマについて開催される講演会や発表会・討論会。
ゼミナールは、教授の指導のもと、少人数の学生が特定のテーマについて研究・報告・討論する形式の大学の授業や、そのクラス。予備校や私塾などが催す講演会などにも使われる。
というのが一般的なイメージだが、上記はどちらが多く使われているかということで、セミナーとゼミナールの意味に違いはない。
違いを挙げるとすれば、ゼミナールは「ゼミ」と略されるが、セミナーは「セミ」と略さないことと、言葉の入ってきた国の違い。
セミナーは、英語の「seminar」から。
ゼミナールは、ドイツ語の「Seminar」から。
セミナーもゼミナールも、語源は同じである。
一般の会話で、児童と生徒と学生が厳密に区別されることは少ないが、法律では区別されている。
学校教育法では、初等教育を受けている者(小学校・特別支援学校の小学部に在籍する者)を「児童」といい、小学生は「児童」。
中等教育を受けている者(中学校・高等学校に在籍する者)を「生徒」といい、中学生・高校生などは「生徒」。
高等教育を受けている者(大学・高等専門学校に在籍する者)を「学生」といい、短大生・大学生・大学院生・高専生などは「学生」である。
その他、専修学校・各種学校に通う専門学校生(専門学生)などは「生徒」といい、就学前教育の段階にある幼稚園児や保育園児は「幼児」という。
学校教育法以外の法律では、児童の定義が異なる。
児童福祉法、児童虐待防止法、児童買春・児童ポルノ禁止法、児童の権利に関する条約では、満18歳に満たない者。
道路交通法では、6歳以上13歳未満の者。
児童扶養手当法では、満18歳に達してから最初の3月31日を過ぎるまでの者を「児童」という。
学生証・学生服・学割(学生割引)などは、大学生に限らず、中学生や高校生にも用いられる。
言葉の意味としては、児童は子供、生徒は学校で教育を受ける者、学生は学業を修める者のことをいい、言葉の意味と法律上の定義は異なるため、法律と関係のない場面で使用する際は、学校・課程に合わせて、児童・学生・生徒を使い分ける必要がある訳ではない。
幼稚園は、学校教育法で定める学校の一つで、文部科学省が所管している。
満3歳から小学校に就学するまでの幼児を教育するための施設で、先生は都道府県の教育委員会が発行する幼稚園教諭の免許が必要となる。
保育園は、児童福祉法に基づく施設で、厚生労働省の所管。
児童福祉法では「保育所」が正式名称で「保育園」は通称であるが、世間では、施設面積が広いところを「保育園」、狭いところを「保育所」としたり、公立を「保育所」、私立を「保育園」と呼び分けられることがある。
保育所は、保護者が労働・疾病などの理由で保育できない0歳から小学校入学前までの乳幼児を保育するための施設で、先生は国家資格である保育士資格が必要となる。
「保育園」や「保育所」という名称は、認可を得ていないものが使用してはならないという法律がないため、保育所(保育園)の中には無認可の施設もある。
託児所は、乳幼児を預かり、保育する施設のこと。
デパートやイベント会場のキッズスペースといった、一時的に乳幼児を預かる施設から、保育所のような継続的に預かる施設まで幅広く指す。
無認可保育施設の託児所が、「保育所」や「保育園」の名称を用いるケースも多い。
幼稚園と保育所の施設や運営を一元化させようとする動きもあり、教育と保育を総合的に提供する施設「認定こども園」の制度が、2006年から開始されている。